写真日記
10年前の今日
バーンロムサイに最初の10人の子どもが来て今日で丁度10年。今もバーンロムサイで暮らしているのはスー、ミュウ、ゲンとボーイの4人。あの日に来た他の6人の子どもたちはエイズを発症し亡くなりました。
10年と言う事はあの時8歳だった子が18歳になったと言う事です。そしてあと10年経つとその子は28歳。当たり前のことですが当時HIVに母子感染した子の平均寿命が5歳と言われていた事を思うと感慨深いものがあります。開園から3年間で10人の子どもたちをエイズで亡くし、ソンクラーンやロイクラトーンそしてクリスマスを10回迎え、、現在5歳から18歳の30人の子どもたちがここで暮らしています。
「時」というのは状況によって同じ一日が、また同じ一年が長くも短くも感じられます。開園当初は無我夢中、慣れない状況の中問題が代わる代わる起きました。子どもたちの入れ替わり立ち替わりの入退院、彼らが巻き起こすいろいろな事件、進学や退学、、運営費の為にと始めた物作り、、、、試行錯誤の連続でしたが仕事としてはやりがいのある興味深いものであったと言う事だったからか、このバーンロムサイでの10年と言う「時」はアッと言う間に過ぎてゆきました。
ミルクは10年後28歳、ナットは27歳、最年少のアーパイが15歳になります。先日の10周年記念のお祝いの席でスーとアームが踊りを披露してくれました。きっとこの二人は将来踊りで生きて行くことが出来るでしょう。そしてその席で日本語の司会を担当したナットとテンモーは10年後日本語を役立て就職しているか、バーンロムサイで働いてくれているか、専門学校に通い出したヌンは自動車修理工となり楽しく働いていて欲しいものです。
10年後の20周年の記念のお祝いには自分の新しい家族を連れてくる子もいるでしょう。開園式で「いつの日かこの子たちが世に出て、結婚し子どもを連れて実家に遊びに来てくれる日が来る事を祈っています」と夢を語った事を覚えていますがその夢は確実に実現しそうです!!そして開園式と大きく違ったのは10周年の今回は多くの村の人たちが来てくれたことです。差別と偏見が確実に減って来ました。嬉しい事です。
子どもたちはバーンロムサイに来たと言う事で彼らの人生が良い方向を向き、そう遠くない将来タイの社会の一員として受け入れられ、自分の足でしっかりと立ち、気持ちの良い人間として生きて欲しいと願っています。ここまでたどり着けたのは皆様からのご支援、ご協力がなくては出来なかった事、心よりの感謝を申しあげます。
そしてHIV母子感染をした彼ら第一世代が自立し社会に巣立つまで、今しばらくご支援ご協力を続けてお願い申し上げます。
10名の天国に旅立った子どもたちの事はいつまでも忘れません。あの子たちはもうすでにどこか素敵な家族の一員として生まれかわっているのかもしれません。そして親戚に引き取られた3人、海外に養子に行った2人、国立孤児院に戻った1人の子どもたち、彼らが元気で生きてくれる事を心から祈っています。
名取 美和|2009/11/02 (月)
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