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スピーディな転職劇

 つい数週間前のこと、突然退社したエカチャイ。その退職の早さにびっくりしたのは記憶に新しい。そして同じことが一昨日縫製場でも起った。
 事件が起こったのは、朝10時。美和さんのデザインしたビーズ付けや刺繍などの手仕事を専門に働いているリス族出身のアレーが私の部屋にきて、話があると言ってきた。あまり自分から話してこないアレーが珍しいなあと思いつつ、何となく嫌な予感。
 そして予感はズバリ的中した。"アレーは今日でバーンロムサイを辞めます。マレーシアに行き、結婚します。そして明日バンコク行きます。"とのこと。こんな重大な事実もっと早く話してくれないと・・・と縫製場のみんなに聞いても、縫製場の誰もが知らなかったといって縫製場も大混乱。たった一人の先輩に、それも前日話をしたようで、その先輩が、ちゃんとバーンロムサイに話してからきちんと退職するようにとアドバイスをしたため、彼女は私の部屋にやってきたのだった。タイでは何も言わずに突然退社というのはよくあることで、日本の退職の仕方との違いにタイに来た初めの頃びっくりしたのを覚えている。
 アレーによくよく話を聞くと、アレーのおばあさんたちの仕切りで、お見合い(?)結婚をするという。そのお相手は30歳。アレーも実際あったことがないという。会ったことがない相手と結婚をするなんてアレーは幸せなのか?との問いにも、"おばあさんたちがいい人だと言っているのでアレーは幸せだと思う。" と。今の時代、顔も見たことのない相手と親のいいつけで結婚をするなんて信じられなかったが、彼女いわく、"おばあさんたちが信頼できる人だと言っているのでたぶん大丈夫だ"、と信じきっているのか、しょうがないと思っているのか真相はわからないが、マレーシアに突然いかなければならない状況には自分もよくわかっていない様子。そして最後に、"自分でもこのまま去るのは気が引けるのでリス族の知り合いにここで働いてくれる後任を探します。"ということで至急新しい人を探すことに。アレーはバーンロムサイに住込みで働いているので、そんなに簡単に住込み条件で働いてくれる人は見つからないだろうと思っていたら、夕方5時近くになってアレーから、"働いてくれる人が見つかりました。今近くにいるので迎えに行きたい。"と言ってきた。あまりの突然の出来事とあまりのアレーの積極性に、これは計画的なのではないかとの思いもありつつ、私たち日本人はそのスピーディな展開に驚きながら、とりあえず新しい人を面接することに。新しい人は30代の、アレーと同じリス族出身の女性2名だった。2人を面接し、"ではまずはお互いお試し期間"ということで今日の所はさようなら、と思って帰るのかと思いきや、彼女たちはすべて自分の荷物を持って、すでにバーンロムサイに住込みする準備で来ていた。なんともこれまたスピーディなタイ人の行動にびっくりしてしまった。たった7時間の出来事とは思えぬ波乱万丈な転職劇。そして当人のアレーは淡々と、"では私は明日の朝去ります。ありがとうございました。"と言って去っていった。エカチャイは辞めると言って数日期間がありましたが、アレーは辞めると言って7時間後に後任を見つけ、そして次の朝には去っていく、という最短記録を更新したのでした。アレーちゃん何はともあれ、お元気で、そしてお幸せに・・・・

馬場 容子|2009/04/01 (水)

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