写真日記
違うから面白い
タイでは食事中食器を持ち上げて食べてはいけません。でも日本ではお茶碗や汁椀を置いたまま食べるのはお行儀が悪いと言われています。タイでは子どもたちが床に座る時、基本的に男の子は胡坐、女の子は横座り。日本のような体育座りと言うのでしょうか、膝を立て座る事と正座はお行儀悪い事なのです。靴を脱ぎどこかに入る時日本では帰る時そのまま履けるように脱いだ靴をつま先を外に向けますが、タイではつま先を家の中に向けたまま靴を脱ぎます。麺を音をたてて食べるのもご法度。目上の人、年長者の前を通る時は必ず腰を折って通る。
ドイツと言うかヨーロッパでは鼻をずるずるさせ、かまないでいるのはとてもお行儀が悪く、ともかくハンカチなりティシュで大きな音をさせてでも鼻はかまなくてはなりません。ゲップも痰をグェー、ペッと吐くのはマナー違反、国によっては罰金もの。小さな子どもをレストランに連れてくるのもマナー違反。その代わり躾がきちっとされている犬は同伴可。くしゃみは「ハックション!」と大きな音を立てずにグッと喉で止めるのが礼儀。鼻は食事中でも音を立ててかんで良いのにくしゃみは音を立ててはいけない、といったように何が良いとか悪いとかではなく、それぞれの国の置かれた環境、宗教的背景、文化、風習に合わせ歴史の中で培われてきたものなのでしょう。時代とともに変化しているのでしょうが、それぞれの国の約束事みたいなことがあります。暮らしたことがないのでよく知りませんが多分イスラムの国々やアフリカや、極限で生きているイヌイットの人たちには私たちが思いもよらない独特なマナーや習慣があるのでしょう。
私自身16歳でドイツで生活を始めてすぐいろいろな習慣の違いを身をもって体験しました。ジャガイモを食べる時はナイフで切っちゃだめよ、と言われ何故だか知らないまま長い間フォークの背でつぶしたり、切ったりしていましたが、ある時「昔のナイフは鉄でできていたから、そのナイフで切るとジャガイモに鉄臭さが移るのでそうして来た」と知りましたが、今では鉄のナイフなんてもう骨董屋でしか見たことなかったのですが、それが習慣となり、ステンレススチールのナイフが登場してきても、相変わらずジャガイモはフォークの背でつぶしています。その当時1962年頃はまだ女性がテーブルに着く時は必ず男性が椅子を引き、またそのテーブルにいる男性はそろって席を立って(少なくとも腰を上げ立つふりをする)女性を迎えてくれたし、ドアは勿論女性を優先して通し、コートは必ず男性が着せてくれました。そしてレストランに入る時は必ず男性が先に入って女性をエスコートするのが礼儀でした。こう言ったレディーファーストはウーマンリブの登場で今では過去の習慣としてヨーロッパでも廃れつつあります。ヨーロッパでは挨拶としてのハグは当たり前でしたが、日本ではどんなに親しい人たちでも人前でハグすることはありませんでしたが、今では日本でもハグする人たちが増えつつあります。その分きちっと腰を折り挨拶する人たちの数は減ってきたように思われます。
タイでも服装は体の露出する範囲は極力少なく、でしたが今ではショートパンツにタンクトップの女性が増えてきており、やはりジャンボジェットで人々が異文化圏に入ることが簡単にできるようになってからは、その国の文化を尊重すると言う事より、自分たちの文化を他国に持ち込む人たちの方が多く、その国独自の習慣風習が急激に変化しつつあります。
そんな中、絶対に無くなって欲しくないのがタイの両手を合わせる挨拶「ワイ」、10年後タイ人が片手を上げ「ハーイ!」なんて挨拶してほしくありません。
習慣風習やマナーは良いとか悪いとかではなく「そう言う物なのです」。そしてそれはその国の文化なので、他人がどうのこうのと言う筋合いのものではありません。郷に入れば郷に従い、違うから面白いのであって、お互いの文化風習を尊重し合える社会であってほしいものです。人類の歴史の中でどれだけの習慣やマナーがすでに廃れてしまったのでしょう、、、子どもの頃「エスキモーの人達は鼻と鼻をこすり合わせるのが挨拶」と読んだ事がありますが、、、今はどうなっているのでしょう。片手を揚げて「ハーイ!」になってしまったのでしょうか、、、、
『お知らせ』
6月12日(金)から六本木アクシスビル サボア ヴィーブルにて恒例の「バーンロムサイ展」が始まります。是非お立ち寄りください!詳しくはバーンロムサイホームページ(http://www.banromsai.jp/cms/event/savoir_vivre.html)をご覧下さい。
名取 美和|2009/06/10 (水)
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