写真日記
グライ
先日ボーイがおヘソの手術で入院する時に、子どもたちが通っている国立病院へ行って来ました。さらにこの日は飲み忘れで薬の耐性疑惑が浮上しているグライの検査結果もあったのです。CD4の数値が下がり、HIVウィルス値が上がった1ヶ月前、名取やウェウから「もう小さい子どもではないのだから、自分の体のこときちんと自分で管理しないと、死んでしまうから!!」と厳しく言われ、絶対薬を飲みますと約束したにもかかわらず、数値はまた悪くなっていました。先生からちゃんと飲んでいるのか問い詰められると、時々忘れてしまうとボソボソと答えています。一緒に行った保母のティムさんやレックさんと共に大きなため息しか出ません・・。まだ耐性が出来たとまでは言いきれない数値だったので、同じ薬で様子をみることになりました。
検査結果を待っている間、外の待合い室でティムさんの肩に顔を埋め、腕に腕をからませ、大きな体で甘えているグライを見ている時は、寮の暮らしが辛いのかな?寂しいのかな?とか、こうして甘える姿を見るとなんだか微笑ましく、ちょっと安心したりしていたのですが、検査結果を聞いてそんな思いも吹っ飛んでしまいました。
寮生活では6人部屋。当然HIVに感染していることを友だちたちは知らないので、朝7時、夜7時、薬を飲んでいることを見られたくなく、人の目を気にしているうちに飲み忘れてしまうこともあるのかもしれません。これはグライだけの問題ではなく、これから子どもたち全員が経験することです。ちょっとトイレに・・などと言ってこっそり飲む子、「胃腸薬」などと言って飲む子、そして何かに夢中になってついつい飲み忘れてしまう子など・・。月に3回飲み忘れると薬の耐性が出来る可能性がとても高くなってしまいます。一生飲み続けなくてはならない抗HIV剤、グライにとっても他の子どもたちにとっても、何よりもまず薬をきちんと飲むことが自立に繋がる最初の一歩、そして命を守るために絶対必要なことなのです。
グライをホームに戻すことでは、何も解決されません。いつかは外に出て一人で暮らすことになるのですから、またこれから先同じように寮生活や下宿生活を送る子どもたちも居ます。グライには何が何でもまずは薬をきちんと飲んでもらいたいです!そうしないと、どんどん彼らの将来の道幅が制限されて来てしまいます。そして自ら薬を飲まない子どもたちに薬代を支援することが難しくなってしまいます。何か起これば、誰かがきっとなんとかしてくれると思っている子どもたちに、彼らに、特に年長の子どもたちには危機感を持ってもらいたいと思う今日この頃です。
麻生 賀津子|2009/07/07 (火)
前の写真日記:夏の風物詩
次の写真日記:タイの虫除去