鎌倉店に遊びに来てくださる方々はご存知の通り、向かいにあるこの古い建物「THE BANK」。昼間のこの写真、一見廃墟なのかと思わせる外観だが、夕方5時近くになると一人、二人と集まり営業がはじまる。入口には酒林が吊るされ、小さな看板がOPENを告げる。

そう、ここは「THE BANK」という名のBARなのだ。近代建築のモダンな建物は、昭和2年、旧鎌倉銀行の由比ガ浜出張所として建てられた。今でも入り口の上には「由比个濱出張所」と刻まれている。昭和初期には小児科医院として使用されていた時期も。その後画廊や雑貨店になったが、2000年４月、銀行にちなんで「THE BANK」という名のBARをオープンした。しかも入口のロゴは'BANK GOTHIC'といわれるフォントを使っているというお話も。なんともおしゃれである。約70年間の歴史を物語る外観にプラスされ、その内装はというと、人気インテリアデザイナー片山正通氏が手がけたものだ。最強タッグの末に生まれたBARなのである。

鎌倉では数少ない正統派のBARであるがため、常連客から観光客まで多くの方が足を運ぶ。そして毎日必ず見かける光景として、写真撮影があげられる。この写真は、店先からのアングル。かなりのベストポジションである。一日何度も目がいってしまうのも仕方が無い。ただ、ここまでご紹介させていただいたにも関わらず、まだ一度も踏み入れた事がないのが現実。いつも賑わっているから。

古都鎌倉の町並みにしっくりととけ込むこの建物で、グラスを傾けながらバーンロムサイの事を話す日もそう遠くはないだろう。

「左2枚：現代の写真」「右：当時の銀行の写真」