先日チャイさんと話をしていると、話の流れで話題は毒蛇の話からその毒を呪術で治してしまうというおじいさんのものになった。以前にもチャイさんから不思議な力を持ったおじいさんが呪文を唱え、息を吹きかけることによって解毒をしてしまうという話を聞いたことがあったが、チャイさんはさらに詳しくその不思議な力について教えてくれた。

チャイさんの家の近所に住む人が足を毒蛇にかまれてしまい、病院へと行ったが、膝から下は黒くはれ上がってしまっていて、医師からは3日間治療して良くならなければ膝から下を切断しなければいけないと言われたのだそうだ。どんな毒蛇にかまれたのかがわからないため、正しい血清が打てず症状は一向によくならなかったため、ホームの近くに住んでいるという不思議な力を持ったおじいさんに治療を頼むと、みるみる症状がよくなり、3日ほどで腫れが引いてしまったのだそうだ。これには医師もなぜ腫れが引いてしまったのかわからないと言っていたそうだ。さらに、チェンマイ市内の有名な国立病院の医師も、親戚が毒蛇にかまれどうしようもなくなった時に、最後に頼ったのがこの不思議な力を持ったおじいさんなのだそうだ（もちろん治ったとチャイさん）。

この不思議な力は蛇などの毒を抜いてしまうもの、骨折を3日で治してしまうもの、牛や水牛などの動物を操るもの、さらには銃で撃たれてもなんともないもの（チャイさんの元奥さんの親戚はこの力を持っていたという！）まで何種類もあるのだが、1人の人がすべての力を持っているのではなく、それぞれ呪術師によって持っている不思議な力は別なのだという。そしてこの不思議な力はすべて、呪文を唱え、息を吹きかけることによって効力を発揮するのだそうだが、ある儀式でその大切な呪文を伝えることによって、不思議な力を別の人に与えることができるそうだ。大抵の場合親から子へと受け継がれるそうだが、この儀式をのぞき見た人がこっそり呪文を覚えてしまうと、その不思議な力は盗まれてしまうという。

このチャイさんのいう不思議な力、初めは半信半疑、いや半分というよりほとんど信じずに話を聞いていたが、その不思議な力を信じ、真剣に話しているチャイさんを見ているうちに、もしかしたらそんな不思議な力もあるのかもしれないと思ってしまった（銃に撃たれてもなんともないというのはまだ信じきれないが・・・）。最近はこの不思議な力を持っている人がとても減ってしまったとチャイさんは言っていたが、蛇の毒を抜ける人はまだホームの近くに住んでいというので、もし毒蛇にかまれてしまったらこのおじいさんにお願いしてみようと思う（もちろん病院へ言ってダメだったらだが）。