写真日記
ボーイの願い
ボーイの両親はカンボジアに隣接するチャンタブリー県のマンゴー果樹園で働いていました。しかし父親がカンボジア人でタイのIDカードを取得していなかったために、不法就労の取り締まりが入った際、ボーイの両親は逃げてしまい、置き去りにされた3歳に満たないボーイは取り締まりから3日後にマンゴー林の中で発見されたそうです。どんなに怖かったことか・・。その後施設に送られ、HIVに感染していることが分かり、パヤタイ国立孤児院から2000年5月バーンロムサイにやってきました。
子どもたちの履歴は、最初に預かった福祉局の人や国立孤児院の人がどれだけきちんと記録しているかによって、相当個人差があります。上記の話も、ウェウがパヤタイ孤児院の人から伝え聞いただけで、正式な書類に記載されてはいません。ボーイは両親がカンボジア人と聞いていましたが、お母さんの名前からするとおそらくタイ人だろうということで、この件は二転三転していますが、つまり彼はタイとカンボジアとのハーフかと思われます。
昨年の大晦日の夜、子どもたちと一緒にコムロイをあげ時のこと。隣にいたボーイに「ボーイはコムロイに何をお願いするの?」と聞いたら、「僕のお願いごとは一つだけ!本当のお父さんとお母さんに会いたいんだ」と笑顔で明るく答えたのです。そしてその願いを託したコムロイが夜空に消えるまで、大きな目で見上げていました。私の願い事も急遽、「ボーイの願いがかないますように」に変更。その時のボーイの顔と声がいつまでも残る年越しとなりました。かなり難しい願いごとです。でももしかしたら何か方法があるかもしれないと、今日タイ人スタッフに相談し、母親の名前を手掛かりに(以前も一度トライしたけれど駄目だった)再度あたってみようということになりました。
今年の夏休みも、子どもたちの親や親戚捜しをやりたいと思っています。ペンのように本当のお母さんと会える子どもが居るかもしれません。そしてボーイも何かしら新しい情報が、それも嬉しい知らせが入ると良いのですが。
麻生 賀津子|2010/01/07 (木)
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