写真日記
社会性
自動車修理工になりたいというヌンは、昨年専門学校でのバイク修理のコースを終え、1月からは機械全般の修理を学ぶコースに通っている。そして今年からは学校に近いダムさんの友人のバイク修理工場で、見習いとして1日50バーツ(約150円)のアルバイト代までいただいて働かせてもらうことになった。朝、8:30から修理工場で働き、午後2時間学校で勉強した後、また働いて帰って来る。お店にはアメリカンタイプやオフロード、オンロードタイプの新しいオートバイも目にする機会が多いらしく、帰って来ると「こんなバイクを見た」とか「今日はこんなことまでさせてもらった(機械に詳しくないので詳細が分からないことも多々ある)」など、報告する時の顔も喜々としていて、充実した日々を送っている。ホームやスタッフのバイクも最近はヌンが直してくれるようになった。
そんなヌンのことで、先日ダムさんがカンカンになってオフィスに来た。いつもの8:30より少し遅くなってお店に着いたオーナーから「ヌンが来ない」と連絡をもらったダムさんは、てっきり何処かに時間潰しがてら遊びに行ってしまったと思っていた。しかし「行ってみたらお店が閉まっていたので」と彼はなんとまっすぐバーンロムサイに戻って来てしまったのだ(お店は学校に近く、バーンロムサイはかなり離れている)。ならばオーナーに電話をするとか、少し他で時間を潰してまた行ってみるとか、ダムさんや保父母に電話するとか、しっかり考えればいくらでも手段があるだろうに・・と・・。
ま、怒るのも無理はないのだが、やはり何かいつもと違うことが起こったり、アクシデントがあった時に、どうその場で考え判断するかという力が彼はまだ弱い。小さい頃から孤児院という団体の中で規則に囲まれ過ごして来たヌンは、一般の家庭の子どもと同じ経験をする機会は少なく、自然に身につく「社会性」というものがヌンに限らず、うちの子どもたちには足りないと成長に伴い感じることが多々ある。
年長の子どもたちの中には、バイクで通学する子どもがすでに3名、ミルクも週末の塾は市内までバイクに乗ってゆく。外に出れば今まで遭遇しなかったような、それも頼れる人が誰も居ない時に、何かが突然起こることもこれからたくさんあるだろう。その時に的確な判断が出来るように、日頃から「人に言われたからやる」、「みんながそうだから私も、僕も・・」ではなく、自分の頭でしっかり考え自分で決める習慣を、もっともっと身につけるようにしなくてはと、ちょっと情けなかった今回のヌンのことであらためて思った。
*左上の写真は自分のバイクのタコメーターを修理しているところ。
麻生 賀津子|2010/01/27 (水)
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