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はじめての一等賞

BOON (picture).jpg今、バーンロムサイの図書館は盛り上がっています!誰が一番本やVCDを借りているかで、初めての一等賞が決まったからです。その子の名前はブン君。背は高く年齢は12歳ですが、今はまだナンプレー小学校の3年生。ちょっと人よりもゆっくりなところがあるようですが、性格が良いので、スタッフたちも子どもたちも彼のことが大好きです。土日になると午後にダムさんが来て、今ナンプレー小学校の子どもも何人かサッカーに連れて行ってくれるのですが、ブン君はすでに朝9時ころから来て待っています。お昼御飯を一緒に食べて、全然ルールも分からないしサッカーもヘタクソだけど、とにかく楽しくて楽しくて仕方ないという顔をしていると、ベンさんが嬉しそうに話していました。


彼はミャンマーから歩いて国境を越えて来たタイヤイ族(シャン族)です。今、チェンマイにはミャンマーで過酷な環境におかれているタイヤイ族たちが、命がけで国境を越え、たくさん入って来ているそうです。すでにナンプレー村の中にも大勢のタイヤイ族が住んでいると聞いています。殆どがバラック小屋に住み、親は日雇いの仕事につき、相当貧しい生活を送っているとのこと。ブン君もその例にもれず、洋服はいつも同じで相当厳しい環境のはずですが、なんといっても明るいです!ベンさんが以前働いていた身体障害者施設にもタイヤイ族の人が居て、その人の話しによると、例えば1日200バーツ(600円)の稼ぎの中、食費を切り詰め、お金をため、ミャンマーに残っている家族に送金しているとのこと。(ちゃんと手元に届くのでしょうか?!)


市内にある「レストラン サイトーン」にも2名のタイヤイ族の子が働いてくれています。ちょっとしんどかったり、他に良い仕事があればすぐに辞めてしまうタイ人に比べて、命がけで国を出てきた彼らの必死感は違います。教えてもらうことを素直に吸収し、タイ語がうまく話せなかったり、読み書きが苦手だったりするので、覚えようと一生懸命勉強している姿は、あたりまえに食べることが出来、平和な国に暮らす私たち日本人にとって、彼らの純粋さ、ひたむきさには心を動かされるのです。彼らにとって一番大切な労働許可書もきちんと揃え、今、サイトーンにとってタイヤイ族の二人はとっても大切なスタッフとなっています。


ナンプレー村のタイヤイ族に何か手を差し伸べられないか・・という話も出ているのですが、民族は関係なく貧しい人はたくさん居るので、線引きがとても難しいなど、ただ貧しい人にお金や物を渡すのではなく、長い目でみて彼らが生活してゆけるような支援の形を模索中です。そのような中で、サッカーに行けること、図書館で催し物をしたりすることは、タイヤイ族だけではなく村の子どもたちにとってとても嬉しいことなので、その笑顔に刺激をうけて、バーンロムサイのタイ人スタッフたちもこの夏休み、みんなで一緒にキャンプへ行ったりなど、計画中です。バーンロムサイが取り組んでいるプロダクツの仕事や、ゲストハウスもバーンロムサイの子どもたちだけでなく、村の子どもたちの働く場になればという思いで、しっかりした土台作りの大切さを実感しています。それ以外にも
村の人たちの地場産業になるような新しいプロジェクトも、これからの10年、始めて行きたいと考えています。


ブン君にとって、今回の一等賞は生まれて初めてのことだと思います。みんなから拍手されて大きなぬいぐるみをもらった彼は、状況がうまくのみこめず、ビックリするやら嬉しいやら。


バーンロムサイがこの村の中で果たす役割は、これからますます大きくなってゆきます。

麻生 賀津子|2010/03/08 (月)

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