写真日記
休校日
現在少しずつ落ち着きつつあるタイの政情ですが、先日の名取の日記にあったようにまだこの問題が終息するところは何処なのか、見えないままの日々が続いています。チェンマイでもUDD(通称赤シャツ)反政府グループが過激な行動に出て一部の地域でタイヤを燃やすなど19日は不穏な空気が流れ、銀行や大手デパート、飲食店やコンビニの一部は店を閉めていました。19日から23日日曜まで発令された夜9時~朝5時までの夜間外出禁止令はバンコクだけではなくチェンマイを含む24都県に及び、19日、夜9時以降にホームから自宅へとどうしても帰宅しなくてはならなかったスタッフのベンさんは、普段と違う不気味な静けさが怖かったと興奮気味に語っていました。
現在はデパートも閉店時間を早めていますが営業を開始し、チェンマイは大きな混乱を招く前に反政府グループの動きはおさまって来たようです。
これに伴い子どもたちの通う学校7校の内、2校が2日間の休校となりました。以前は毎週金曜日と土曜日の夜だけしかテレビを観ることが出来なかったのですが、もっと社会情勢を知り一般常識を身に着けて欲しいということで、最近は食後ニュースを観るようになり、そのニュースから気になったことをノートに書き取るというタイ人スタッフのアイディアは、自然と子どもたちに世の中で起こっていることを知る、気にかけるきっかけになっているようです。今、自国で何が起こっているのか、子どもたちなりに新聞やニュースから情報を得て、また学校で聞いたこと、知ったことを色々と教えてくれます。UDD幹部が暗殺され、それに憤った人々がまだ多くバンコクに残って反政府運動を続けている新聞の報道を、スーは「誰だって大切な人が殺されたら怒るよね。メーアソウだって友達が撃たれて死んだら怒るでしょ?」と、政治背景とは別に人の心の機微を感じ取っていてました。大人になってきたな・・。あたりまえか・・。
昨日夕食の後、台所で新聞を読んでいるオンとその横でまだ食べ足りないのか、さらにご飯を食べているタンと話していました。UDDデモ隊のバンコクでの動向などを詳しく説明してくれるオン。声変わりが始まっています。その横で必死に食べながらも必死に写真を指さしながら話すタン。オンもタンも別の公立中学1年生となり、今までとは違う学校の雰囲気をとても楽しんでいるようです。同じクラスの二人、1クラス42名で1学年10クラスのマンモス公立学校。今までの学校とは違い昼ご飯は給食ではなく自分で買って食べるシステムで、他の子どもよりお小遣いも少し多めですが、毎日全部使い切るのでは無く5バーツを保父母に預け貯金をしています。団体で通っていた今までとは違うことが、なんとなく二人の意識を変えているような気がします。
休校となった2日目のこと、子どもたちは朝から網戸の掃除をしました。相変わらずの猛暑なので、水を使った仕事はかなり気持ち良さそう。あっという間に干した網戸は乾いてしまいます。
女の子たちも網戸の掃除の後は、洗濯場の落ち葉掃きやシーツの洗濯など午前中は家の仕事で大忙しの休校日なのでした。
そして夜は・・。誰かが絵本を読み始めると、自然と本を開いて読み始める男の子たち。元ボランティアスタッフの伊藤美和さんが企画した「絵本読み聞かせツアー」で、子どもたちはすっかり絵本のファンに。日本語の絵本にもタイ語の訳が貼ってあるので、絵本大好きなペットは他の子どもたちに「これはこうなるんだよ!」と、話しの説明に余念がありません。ツアーに参加してくれた方々の、そして伊藤美和さんのおかげで、こうして絵本が子どもたちの楽しみの一つになったことは、とても嬉しいとあらためて皆さんに感謝です。(詳細は→http://www.jeps.co.jp/thai/thai_ehon.html をご覧ください)
こんな休校はもうあって欲しくはありませんが、以前はダラダラ過ごし気味だった突然のお休みも、子どもたちが普段出来ない掃除をしたり、新聞を読んだり、絵本を読んだり、スポーツをしたりと、無駄なく時間を使うようになって来たように感じた休校日でした。
麻生 賀津子|2010/05/22 (土)
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