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写真日記


毎週土曜日

午前10時から、見学を希望する方にホームの中を案内しています。最近は私もその仕事をしているのですが、チェンマイに旅行に来ている方、ゲストハウスに宿泊されている方、また様々な年代の方がバーンロムサイを訪ねていらっしゃいます。時にはタイのHIV/エイズ事情を詳しく勉強されている方や非営利の仕事に関心を持っている方がいらっしゃいますし、また縫製所での物作りに興味を持って訪れる方もいます。そのような方々から色々な質問を受けますが、それに答えてゆくたびにホームの事はもちろん、チェンマイやタイの事情についてもっと知らなければいけないと思うことの多い近頃です。

そのような理由もあり、先日、バーンロムサイの多くの子どもがホームに来る前に過ごしていたビエンピン国立孤児院を訪ねてみました。ここは親をエイズで亡くした孤児や、自らもHIVに感染している孤児たちが生活する、北部タイでは最も大きな孤児院ですが、6歳までの男女、そして7歳から18歳までの女の子達、総勢約150人が暮らしているそうです。私が訪れた時は平日だったため、幼稚園や学校に行っている子どもたちが多く、1〜2歳児の部屋に案内してもらいました。その時は2人の保母さんとボランティア1名が12人の子どもたちを相手に世話をしていましたが、甘えたい盛りの子どもたちに対して手が足りません。保母さん達は、昼食が済むとすぐに注射器に入った薬を飲ませ、お風呂に入れて、昼寝、そして今度はおやつ、遊びの時間、またお風呂、と、次から次へと子どもたちの世話をしてゆきます。おそらくまだこのくらいの年頃の子どもたちがいたバーンロムサイも、きっとこのような生活が続いていたのだと思います。しかも抗HIV療法が始まる以前(2002年秋以前)は、子どもたちの多くがエイズを発症していたため、もっと大変な生活だったことと改めて思いました。ビエンピン孤児院のスタッフの方によると、やはり抗HIV薬が普及したことによりエイズで親を失う子どもの数は近年減ってきているとのことです。しかし、それでもまだこのように小さなこどもたちがHIVウイルスと闘いながら生活している現実を見ると、先々、彼らが大きくなった時にちゃんと自立してゆける環境が出来ていることを願いたくなります。

見学者の方から、「バーンロムサイでは今後、小さなこどもたちを預からないのですか?」という質問をよく受けます。以下は私見となりますが、今、ホームにいる30人の子どもたちが、近い将来自立してホームから巣立ってゆき、また子どもを新しく受け入れるスペースや態勢が出来ればきっと迎え入れることも出来るのではないかと思っています。けれどもまずはこの30人がちゃんとタイの社会で、自分たちの力で生活してゆけることが一番大事なこと、そしてその結果、彼らよりも若い世代の同じ境遇の子どもたちにも道を作ってゆくことになるのではないかと、そのような事を思うビエンピン孤児院への訪問となりました。


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佐藤くみ|2010/06/05 (土)

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