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写真日記


交通事故

麻生と私が日本に帰国して4日目の5月29日、開催中の展覧会場にチェンマイから「テンモーが交通事故を起こした」の一報が入りました。高校に入学しバイク通学を始めて10日目。意識不明の重体。頭にひびが入り内出血をしているので即開頭手術の必要があるとの事。救急搬送された病院から設備の整った国立病院に救急転院し3時間の手術が行われました。それから2日後の5月31日再度脳出血があり再手術、術後医師から「回復する確率が三分の一、植物状態になる確率が三分の一、そして死に至る確率が三分の一」とスタッフは説明を受けました。また回復したとしても何らかの後遺症が残る可能性も否定できないと知らされました。

事故の状況から判断して非はテンモーにあると思われます。反対車線にUターンする為左車線から右車線に変更した際、後方確認をせず車線変更をした為交通量の少ない右車線を高速で走行していた車に追突され30メーター程引きずられた後飛ばされ、中央分離帯に後頭部をぶつけてしまったと言うのが事故の様子。追突した運転手は「左から急にバイクが飛び出してきたのでよけようがなかった」と話しているそうです。


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テンモーに追突した車


バーンロムサイのあるナンプレー村はチェンマイの市内から30キロほど、公共交通機関がありません。その為子どもたち全員が同じ市内の学校に通っていた頃は2台の車に分乗させ送迎をしていましたが、異なる中学に進学し通う学校が2校になり、昨年からは新たに1校増え、今年さらに3校増え計6校。2台の車で朝の登校時全員を車で順番に送り、迎えに行く事が難しくなり、ピーダオが3年前から、ナット、ヌンが昨年から、シントー、ミルク、テンモーの3人が今年から、計6人がバイク通学をしています。
ここでは子どもから老人まで誰もが乗り合い自動車、自家用車またはバイクや自転車に頼らざるを得ません。ヘルメットは義務付けられてはいますが、取り締まりも厳しくありません。チェンマイに住み出してからどれだけのバイク事故を目にした事か、、、子どもたちには口を酸っぱくしてヘルメットを着用するように言って聞かせています。ホームを出る時は被っていても、常に目を光らせている事はできません。

テンモーは術後11日目の6月9日に退院、現在ホームの離れ、開園当時ICUとして使用していた建物で、24時間体制の看護がまだ必要ですが、自分の足で歩き、食事が出来るまでに回復しました。少しずつですが会話も出来ます。驚くべき回復力です。頭痛が続いているようですがあとは彼女の自己治癒力で回復を待つしかありません。もしもエイズの発症を抑える抗HIV薬をテンモーが飲んでいたら、事故後服用が滞り耐性が出来てしまったかもしれません。まだ服用を開始していなかったことも幸いしましたし、事故を起こしたところが大きな病院に近かった事、バーンロムサイのスタッフの判断が的確であった事、諸々が良い方へ作用したお陰でテンモーの命が助かったのだと思います。
事故現場に駆け付けたスタッフの話だとテンモーのヘルメットはバイクの籠の中にあったとの事。もしも、、、ヘルメットを被って居たら、、、ここまでの怪我を負わなくても済んだのに、、、、テンモーの事故以降バイク通学の子どもたちはしっかりヘルメットを被り慎重に運転をしているとの事、二度とこのような事故が起きませんように、、、

10年間バーンロムサイで大切に育てられたテンモー、こんなことで死なれてはたまりません。生きていてくれて本当に良かった。あとは後遺症なく回復してくれる事を祈るのみです。

どの時点で皆様にこの事故をお知らせするべきかと考えましたが、ほぼ確実に回復の見込みが立った今この時点で、ご報告申し上げます。折角皆様のお力で16歳になったテンモー、その100%の回復を祈るのみです。

名取 美和|2010/06/20 (日)

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