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魂を拾う

皆さまにご心配頂いておりますテンモー。おかげさまで、どんどん良くなって来ています。
先日介護士さんに少し支えられ、ガンニガがしっかり手を握り、ICUから洗濯場の近くまでゆっくりと歩く練習をしていました。以前よりもずっとしっかりした足取りですし、頭の痛みも少なくなったようです。

一番心配したテンモーの2回目の手術の直後、ある人から「テンモーの魂がまだ事故現場に残っているから、それをテンモーに戻さなくてはならない」と言われ、テンモーのために出来ることは何でもする!という必死の状況の中、『ポーナーン』に来ていただき、事故現場で「魂を拾う」儀式をし、その足で病院へ行きテンモーに「魂を戻す」儀式をしました。

現場に立ち会ったタイ人スタッフから聞いた話しによると、人には32個の魂があり、意識の戻らないテンモーの32個の魂がまだ事故現場にあるからそれを彼女に戻さなくてはならないとのこと。テンモーが普段良く着ている服と、バナナの葉でくるんだ花と蝋燭と線香のお供え物、そして『ポーナーン』の位の高い方(すでに他界された方だと思う)への9バーツのお供えを持って事故現場へ行き、そこで籠の中に洋服などを入れて、魂をすくい、拾い、祈りを捧げ、そのまま一緒に病院へ行き、テンモーの両手に祈りながら白い紐を巻いていただき、そこに魂が戻り、儀式は終わったそうです。そして現場に持って行ったお供え物とテンモーの服と9バーツは、バーンロムサイのテンモーがいつも寝ているベッドの枕元に置きました。

その翌日にテンモーの意識が戻り、こうして元気になって来ているので、北タイ出身ではなく、普段そのような事をあまり信用しない他県出身のスタッフも、この時ばかりは「やってよかった!!」と、儀式の様子を興奮気味に話してくれました。

ポーナーンお供え.jpg

まずは事故現場でポーナーンが祈ります

ポーナーン拾う.jpg

魚をすくう様に魂を色々な場所で拾うポーナーン


ポーなん拾う2.jpg

ここにもまだテンモーの魂がいるので拾うポーナーン


『ポーナーン』とは、日本語で一言で表現することは難しいのですが、長くお寺で僧侶として修業をし、「カ ター」という特殊な言葉を勉強した方で、髪の毛も剃っていなくて、普通の洋服を着ていることが多いです。つまりその方が『ポー ナーン』と知らなければ、村の普通のおじさんです。彼らにはそれぞれ得意分野(能力?)があるらしく、例えば結婚式やお葬式の儀式を司る人、病気を治す人、今回のように魂を拾い戻すことが出来る人など色々な方が居るとのこと。

今回は北部出身で結構信心深いエー君が急遽お願いし、隣のランプーン県から来て頂いたそうです。


タイの中でも、北部はランナー王国時代から続くこのような信仰が根強く残っています。「信じるものは救われる」が今回は本当になりました。ポーナーン、テンモーの魂を戻してくださって、ありがとうございました!!!

麻生 賀津子|2010/06/28 (月)

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