トップ > 写真日記

写真日記


バーンロムサイで考えた日本の事

朝、部屋に差し込む光で目を覚ます。夜は、虫の声を聞きながら眠りにつく。市場までの道のりに、綺麗な水田があって。ふと足を止める。25バーツのおいしいご飯に、タピオカコーヒー。市場のおばちゃんの元気な声。子ども達のお墓に手を合わせる。するときまって蝶が現れる。椅子に座って、ゆっくりと蝶を眺める。何気ない青空が美しい。何気ない風が、こんなにも気持ちいい。すくすくと成長する子ども達の輝き。愛しい笑顔。愛しい声。トッケーの泣き声を数えながら、人生の話をして、また眠りにつく。


brs2010_jp_HD_h264_3.jpg


この場所に住む方々にとっては、あまりに当たり前の日常の中に、たくさんの幸せを感じた数日間でした。平和で平穏な日々にこそ、大切な「気付き」が溢れていて。改めて、この場所の豊かさに気付くことができました。その一方で、日本という国が、ますます「暮らしづらい」「気持ちの良くない」国になっているなぁということも、強く感じさせられています。

確かに今の日本は、景気も悪いし、借金は増える一方で、少子高齢化にも歯止めがかからない。年金はきちんともらえるのか。給料はどこまで下がるのか。「失われた10年」はどこまで続くのか・・・。将来に希望を見出せず、漠然とした不安ばかりが、日本という国を覆っている気がします。

難しいフェーズであることは確かですが、私は今こそ、日本が発想を転換するべき時期に入っているのではないかと思います。一通りの経済成長を遂げた今、次に目指すべきは、文化レベルの成熟、心の豊かさや、暮らしやすさの追求ではないでしょうか?
確かに年金や将来の不安はあるだろうけど、窮屈な発想は捨てて、もっともっと、自分自身や世の中のために気持ちよく投資をするべきだし、そう出来る環境を整えるべきです。
若者も、日本に対する希望を捨てず、考えることを止めないことです。日本人としての新たなアイデンティティーを確立する為には、若い世代が、日本の良さを見つめ直し、新たな価値を提示しなくてはいけません。

かつての地位に固執するのは止めて、新たな国として生まれ変わることが出来れば、「豊か」であることを、必ず良い方向に結び付けられるはずです。その為には漠然とした不安に縛られた心を解放し、豊かな心を育てなくてはいけません。私自身が希望するのは、日本がもっともっと「誰かの為に」生きられる、気持ちの良い国になってほしいということです。


金曜日に帰国すれば、また東京の渦に巻き込まれるのかもしれません。でも、この場所で感じたことを、具体的な形として発信していきたい。主体的に働き、自覚を持って、日本のことを考えていける人間になりたいし、そう在るべきだと感じています。

バーンロムサイ(何より子ども達!)と離れるのは本当に寂しいですが、もうこの場所は、すっかり私の人生の一部なってしまいました。また戻ってきたいと思います!それまで、私もがんばるから、子ども達もがんばってね。大変なこともあるけれど、希望を捨てず、一緒に力強く、生きていきましょう。


brs2010_jp_HD_h264.jpg

谷岡 碧|2010/08/23 (月)

前の写真日記:タイの社会貢献

次の写真日記:「赤シャツ」のデモを見る

写真日記一覧へ戻る