トップ > 写真日記

写真日記


33番目のロイヤル・プロジェクト


DSCF1463.JPG


タイ中部地方への旅の報告の最後に、ロッブリー県にある「ロイヤル・プロジェクトによる学校」についてお伝えしたいと思います。

タイの「ロイヤル・プロジェクト」とは、タイ王室が行なっている事業で、タイ北部山岳民族の人たちの自立を支援するための農業技術の開発や支援活動のことです。かつてタイ北部の山岳地帯は、麻薬の原料であるケシ栽培が広く行なわれていましたが、犯罪や紛争の原因となるケシの栽培を止めさせ、その代替作物を生産することにより、山岳民族の人々の生活を向上させようという目的で、1969年からプミポン国王がこのプロジェクトを立ち上げました。ここチェンマイの近くの山岳地帯でも、多くの村でロイヤル・プロジェクトによる農作が行なわれており、質の良い野菜やいちごなど商品価値の高い果物、コーヒーなどが作られています。

現在、34のプロジェクトが行なわれており、どのプロジェクトも年々良い成果をあげてきているとのことで、農業技術の高まりとともに、当初は換金率の高いケシ栽培に再び戻っていった山岳民族の人達も、厳しい取締り政策や販売経路の拡張も手伝って、徐々に農作物の生産に従事するようになり、生活が安定してきているそうです。


ロッブリーの郊外の広大な敷地で行なわれている「33番目のロイヤル・プロジェクト」は農業教育を主とした学校運営です。


DSCF1468.JPGのサムネール画像DSCF1470.JPG


小学校から高校までの学校施設の他、お坊さんのための学校や、大きな食堂、縫製などの職業訓練、伝統芸能や音楽を練習するための建物も有ります。山岳民族の子どもたちがここの寮で生活し学校に行っていますが、地元の子どもたちもここに通っているとのこと。


広い運動場、小川、林などが敷地の中にあります。日曜ということもあり、多くの子どもたちは教員と一緒に小川の清掃と草むしりをしていましたが、小さな子どもたちは小川やジャングルジムなどで楽しそうに遊んでいました。魚の養殖池や園芸植物の栽培所などを見ながら敷地の奥へ行くと、「村の入口」のような看板が有り、さらに進むと畑や養豚所の合間に小さな木のコテージがいくつも並んでいます。このコテージでは、ある年齢に達した子どもたちが4人ひと組となって、実際に農業を行ないながら生活しているのだそうです。私が訪れた時は、男の子たちが熱心に耕耘機の手入れをしていました。また、こことは別に広い畑が隣接した場所にあります。


DSCF1471.JPGDSCF1481.JPG


DSCF1472.JPGDSCF1480.JPG

DSCF1475.JPG

このプロジェクトの成果や問題点など、詳しい事を聞く時間がなかったのが残念ですが、子どもたちが小さな頃から農業と接したり、共同生活を体験しながら農業や畜産などの技術を学ぶ事が出来るこの環境と施設は、大変素晴らしいものと思いました。また、このように国の将来を見据えたプロジェクトを次々と行ない、「一村一品運動」(村が何かしらの特産物を持つことにより、経済的な安定を目指す運動)を推進するタイ王室と、プミポン国王の先見の明と実行力に感心してしまいました。これからも、今回のようにタイの"良い面"を見つけて行きたいと思っています。


DSCF1467.JPG


ちなみに、チェンマイでもいろいろな場所でロイヤル・プロジェクトの商品を買う事が出来ますが、野菜はどれも新鮮で美味しく、もっちりした食感のパンもおすすめです。個人的には特にコーヒーがおすすめ、北タイのコーヒーはアラビカ種100%の質の良いコーヒーです。ロイヤル・プロジェクトとは関係ありませんが、北タイから始まったコーヒーのチェーン店、「ワーウィー・コーヒー」や「ドイ・チャン」のコーヒーも芳しくおいしいので、機会が有れば是非お試しください。

佐藤くみ|2010/09/19 (日)

前の写真日記:江no・Fes始まりました!

次の写真日記:連休に鎌倉店にて思うこと

写真日記一覧へ戻る