写真日記
収穫その①
マップラーンという果物。「Marian Plum」が英語名で、日本の枇杷に見た目は似ています。皮ごとかじってじゅわっと甘い果肉が口に広がるので、タイに来てから初めて食べ、好きになった果物の一つです。
バーンロムサイにもマップラーンの木があります。しかしこの実が黄色くなったものを食べたことがありません。子どもたちがまだ熟していない緑色の状態で全部採って食べてしまうからです。酸っぱい実を甘辛いナンプリック(ディップ)につけて食べるのが「最高!」らしいです。タイ人は甘辛酸っぱいが大好きなのです。
先週の日曜日、早速ダオとガノックが木に登ってまだ緑色のマップラーンをたくさん収穫していました。小さな体でトコトコトコトコと木に登ってゆき、嬉しそうに実を採っていた幼い頃のダオを思い出します。そして今でも木の中に居るダオの顔は昔と同じに嬉しそうです。
『収穫その②』
将来、子どもたちの自立のための道筋の一つとして昨年11月から始めた野菜畑。まだまだ試行錯誤の有機栽培ではありますが、最初の収穫がありました!日本のきゅうり。タイのきゅうりは、色が薄く、中も種が多くて柔らかいのですが、やはり食べ慣れた日本のきゅうりは、しゃきっとしていて美味しいです。畑でもいでその場で食べる、何もつけなくてもしっかり「きゅうり」の味がする、シアワセです。
『タン』
先週末に、タイのエイズ関連団体が子どもたちにアンケートを無記名でお願いしたいとやって来ました。10歳以上の子どもたちが、HIV POSITIVEということを前提にアンケートに記入。恋人が出来たら相手に自分がPOSITIVEであることを伝えるか?など、かなり具体的な質問があったようです。
もちろん誰がどう答えたかは、分かりません。しかしタンだけはいつもの習慣で、まず書いたアンケートをスタッフのベンの所に提出しに来ました。なのでちょっとだけ、ベンと一緒に本人の了解のもと、タンが答えたアンケートの一部分をのぞいてみると、「恋人に自分がHIVに感染していることを伝えますか?」という質問に、「恋人には自分が感染していることを伝えるのは難しい」というところにチェックを入れていました。また、SEXをする時にコンドームを使わなくてはならないなど、きちんと答えていたのですが、タンがもうそういう事を理解しているのだということに、あらためて彼が13歳で青年になりつつあることを実感しました。
実際にHIV POSITIVEの人にとって、好きな人が出来た時、感染していることを伝える、いや言えない・・など、大きな壁にぶつかるのだと思います。好きだからこそ、相手を大切に思うからこそ伝える・・と書いたり言ったりするのは簡単ですが、それは当事者にしか分からない辛さです。バーンロムサイの子どもたちもすでにその壁にぶつかっている子、これから経験する子がいるでしょう。でもHIV POSITIVEだということを分かった上で、好きな人と付き合ってゆけるのであれば、それはとても素敵なことです。そして、そうなって欲しいです。
その後タンに恋人が居るのかと聞いたら、エヘヘと笑い、今のところ方思いばっかりとのこと。そこにベンから「タンはお小遣いで、女の子の好きそうなヘアピンなどを買って、色々な子にあげたりしているんだよ」と聞きました。なかなか方思いから抜け出せないタンにも、近いうちに両思いの彼女が出来るかもしれません。そうしたらお小遣いはその子のためだけに使うのでしょうね。
でもタンに恋人・・、う~ん・・、タンには申し訳ないけど、なんだか不思議な感じです。
麻生 賀津子|2011/01/30 (日)
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