写真日記
ジンダー
2006年9月、ガンペッペット県にあるジンダーの実家が見つかりました。年老いた母
方の祖母や叔母さんなど、親戚が大勢身を寄せ合って暮らしている、生計は主に日雇い労
働とタピオカの栽培という貧しい環境です。ジンダーの母親は1度目の結婚で夫からHIV
に感染したものと思われ、3度目の結婚でジンダーを身ごもった際に、自分が感染してい
ることを知ったそうです。皆から中絶を勧められても断りジンダーを出産。その後具合が
悪くなり、ジンダーが2才の時にエイズを発症し亡くなりました。貧しさ故にジンダーを
施設に預けることになった祖母は、突然のジンダーとの再会を泣きながら心から喜んでく
れました。その時に飾ってあったジンダーの母親の写真の前で、ジンダーはしばらく静か
に泣いていたそうです。その後、その写真が突然倒れて割れるという不思議なことも起こ
ったのは、当時同行したタイ人スタッフが今でも興奮して話しをします。かなり貧しい生
活を送っているにもかかわらず、親戚たちがお金を出し合って、1700バーツという大
金をジンダーのために使って欲しいとその時に手渡されました。大きくなってきちんと説
明して彼女に渡そうと大切に保管してあります。
2ヶ月後、お母さんの写真を綺麗になおして、ジンダーを連れて訪問してから5年、しば
らく行き来がありませんでした。
今回、2月初旬に恒例のレインボーキャンプに招待され、ジンダー、タム、ニサー、ビー
、ゲン、ベンと保母のティムさん、エーが同行してカンチャナブリー県へ行き、各国のボ
ランティアが行う様々なワークショップに、各県から集まった子どもたちと一緒に思いっ
きり楽しんだ後、帰り道にあるガンペンペット県のジンダーの家に立ち寄ることになりま
した。
体調を崩して退院したばかりの祖母や叔母さんたちは、手放しにジンダーとの再会を喜ん
でくれ、またジンダーも泣きながらお祖母さんの傍から離れようとしなかったそうです。
同行したタイ人スタッフたちも思わずもらい泣き。
ジンダーのお母さんは10人兄弟なので、親戚の数も多く、貧しく、現在も同じ土地に同
じように肩を寄せ合って暮らしているそうです。
これを機会に、夏休みなどの長いお休みには、必ずジンダーを祖母のもとに連れて行き、
一緒に過ごすことにしました。他にもベンやスーなどお休みの
時に親や親戚の家に行ける子どもは、なるべく連れて行くよう、来月から始まる夏休みを
前に、話しあっています。
ジンダーの家に同行した子どもたちは、全く親戚の手がかりの見つけられない子どもたち
が殆どです。以前母親の見つかったペンも、今現在全く音信不通となってしまいました。
ニサーが大きな目でじっとジンダーと祖母の様子を見ている写真が何枚もあり、彼女の気
持ちはどんななのか・・、羨ましいとか、私にもきっとお祖母さんが居ると期待している
のか・・・、ペンはお母さんに会いたいと思っているのか・・・、親戚探しが困難な子ど
もはたくさん居ますが、諦めずに彼らの身内を一人でも多く見つけることも、今後の大切
なバーンロムサイのプロジェクトです。
麻生 賀津子|2011/02/26 (土)
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