バーンロムサイが開園してから12年の歳月がたちました。現在は長期で1名と決まっていますが、ビザの問題がまだそれほど厳しくなかった当初から数えるとボランティアに来て下さった方々は、母いわく200名を越えるとのこと。

新聞等で災害ボランティアの話題をよく見かけることもあり...、それにちょうど本日、毎年バーンロムサイブースを提供してくれるBlueMoonスタッフと打ち合わせをしていたので、色々思い出しつつ海の家の話しを少々。

個人的な話で、時間も遡りますが...
ホームがスタートする2年前、フリーでデザインの仕事をしつつ1997年の夏、仲間6人でBlueMoonという海の家を葉山に立ち上げました。この時の所持金はその中の一人が貯めていた500円貯金で7万ちょっと。
全員葉山の海が大好きで、それぞれに自分の仕事を持っていたので、得意な事を担当分けし：建築、食事、イベント、音楽、デザイン、PR...と自分の好きなことを、空いた時間で進め、ちょっと変わった海の家をオープン。

建物はいらなくなったと譲ってもらった骨組みに、インスタレーション後に不要となった竹を使い、屋根用のトタンは買えないので古いセールを張り合わせ、テーブルは電線が巻いてあった大きな糸巻き。バイト代などは出ないし、どちらかと言えば持ち出し。食器は自然に分解される洗剤で洗い、大量の生ゴミもリサイクル＆可能な限りEMで処理し、浜辺は毎日ゴミ拾い。"静"をコンセプトに音楽のない夕暮れ時や、島唄のライブ、海から登場するお能をやったり。意識は高いつもりでも、遊びにきた車が近所迷惑だったりと...なかなか悩ましい部分もありつつ。

夏も終わり、なんとか土地代を払い、次の年までの資材置場を借り、厨房に入ってくれたスタッフに気持ちばかりのお礼をし（今思えば...、ひと夏分で「これ、日当ですか？！」と言われそうな金額...）、立ち上げた６人に関しては、もちろん1円も懐に入らず。楽しい夏だった！という気持ちと、様々なお願いを快く受けて下さった方々、関わってくださった大勢の人達と築けた関係、遊びに来てくれた人達の、おいしかった！楽しかった！の声。全員疲労困憊のはずなのに、ふつふつと沸き出す満足感。

3年目には壁際に棚を作ってもらい、バーンロムサイでつくり始めたタイパンツ（当初フィッシャーマンパンツと呼ばれていました）を販売してもらうことに。平置きで見るとなんだ分からない巨大パンツなので、みんなに履いてもらってPR。ブルームーンスタッフが「タイパン」と呼ぶようになり...いつの間にか定着、以来トゥッケーパンツや新らしいミャンマーパンツなどに進化しながらすっかり定番になりました。

その頃"ボランティア"という言葉はまだあまり馴染みがありませんでしたが、働くかわりに金銭ではない"何か"を得る...、何かしらの満足感や達成感、誰かに喜んでもらえること...、必要とされること...。役にたてて嬉しい。だから、やりがいがある。だからハードな仕事でも苦にならない。

無償・有償ボランティア、ボラバイトなど最近は色々な表現や定義があるようですが、基本は"自発（自主）性"とのこと。上記海の家しかり、開園当初からのバーンロムサイしかり。無償で色々な事をしてきましたし、多くのボランティアの方々にも出会いましたが、自分でしっかり稼ぎ、生活出来ている土台があって初めて「プラスα」のボランティアが出来る...　そんな風に思います。時間的／経済的／精神的...？どれか一つの余裕がないと成り立たないのでは？？と。

何事も最初は勢いよく物ごとが自分から動いていく部分がありますが、立ち上げたことを続け、維持する"継続"...これがたいへん。"やる側"にある種の負担がかかるボランティアは、長期的な継続が難しいので、ボランティアで始まったとしても、ちゃんと仕事として継続可能な状態を作り上げ、関わっている人達が心地よく、貧困にあえぐ事なく生活が出来る。その上で全員が「この仕事をしていてよかった！」と言えるような社会になったらいいな、と思う事しきりです。

働く事の大切／大変さを体験：ブルームーン用に買い付けた商品の値札付けや仕分けを手伝ってくれたバーンロムサイの「お姉さん組」

--- イベントのお知らせ ---

昨年に引き続き、神奈川県茅ケ崎にあるギャラリー「カロカロハウス」でバーンロムサイ展を開催中。これからの季節に向けて気持ちのよいガーゼや手織りコットン、リネンの衣類や、色鮮やかなコットンプリントのパレオ、さき織りバッグ、古布をリメイクしたポーチなどの展示販売をしています。
今年の新商品も取り揃えておりますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄り下さい。
展覧会は、4月22日（金）〜 5月3日（火）まで。（27日（水）、28日（木）は定休日）
http://www.kalokalohouse.net/