写真日記
SHINRAPA!! NEWS Vol.7 /12・19 Jun 2011
自由な発想力を元に子どもたちが少し苦手な自主性、責任感、持久力を高めるためのプログラム、それは、自分から「やってみたい」と言い出した言葉に責任感を持たせ、自分の力で完成させるプログラムです。私たちは、やり方を教えるのではなく自分で考えて決断し実行できるよう後押しする手伝いをします。そんなみんなのがんばりをお届けします。(相田ちひろ・ホン)
※13歳以下の子どもたちは、絵画や粘土(陶芸)などこちらで用意したものの中から自由に選んで制作し、13歳以上の子どもたちは、やりたいことを自分の手で見つけ出し制作に挑んでいきます。
現在13歳以上のこどもたちの多くが抱えている問題があります。それは、大人と子どもの狭間の時期で誰もが通る道にあるものです。特に10代後半となった彼らは、大人として扱って欲しい、でも大人として社会にでるには、力不足という現実を受け入れることができずにモヤモヤとしたものを抱えています。美術制作を通して何を伝えていくべきか、、、私たち自身も悩み頭を抱える日々を送っています。
☆スラチャイ(17歳)
そもそも、13歳以上の子どもたちに特別なプログラムを用意したのには、スラチャイの「僕はもう子どもじゃない、小さい子たちと同じようなことはもうやりたくないんだ。もっと大きいもの、ツリーハウスを作りたい。」という強い希望を受け入れたことからはじまりました。
わたしたちは、彼らを見ていて何をするにも"受け身=自主性がない"ことが気になっていました。例えば、絵1枚描くにしても、自分の使う筆や色を自分で用意することができないのです。それが、たった5歩歩けば手に届く場所であってもです。そこで、今回はあえて、専門家の方を呼ぶのではなく、自分のやりたいことを形にするにはどうすればいいのかを「考える」ことからはじめさせました。それでも慣れないこちらからの提案に動きが止まってしまう彼に色々アドバイスしました。物事の調べ方、必要な道具のそろえ方、まず小さいサンプル作りからはじめてその構造や強度を大工さんに相談するなどなど、、、でも、今の彼は、その「考える」ことから逃げてしまいます。でも彼はそれが"逃げ"であることには気がついていません。自分は、そんな面倒なことをしなくてもできるのだと信じている様子です。ならば、「やってみなさい。」としたところ「もうやりたくなくなった。」「できるんだけど手伝える人(アシスタント)がいないんだ。」など周りに言いだし、シラパの部屋に来なくなってしまいました。私たちは、「考える」ことからも逃げてしまうとは考えてもみませんでした。私たちは、「考え」ながら自分自身の力のなさを実感して欲しかったのです。なぜなら、人は、自分の実力のなさを知ることではじめて「努力」することを知り、自分に足りないものを自覚することで、今、身につけるべきことを知る事ができると思ったからです。幼い頃、たくさんのユニークな作品を生み出したスラチャイ、そして大人となるつつある今、クリエイティブな職業につきたいと希望しているようですが現実との狭間で錯綜しています。これから、どうするのか、、静かに彼の動きを見守りたいと思います。
☆ガノック・(13歳)
ガノックは、環境をテーマにした絵本づくりがしたいと、どんなに周りが騒がしくても集中し、根気強く制作を進めてきました。ところがある日、色付けが上手にできないから部屋でやると作品をお持ち帰り、挫折かな??と思って見守っていたのですが本当にそのようになったようです。一度描き途中の作品を持ってくるように言ってますが、見せたくないそうです。もったいないですね。
でも、相変わらず何かを作ることは好きなようで毎週、シラパの部屋に顔をだしています。
違う作品を作ることで色づけ苦手を克服している様子のガノック。
☆アーム(17歳)
キャンパスに自画像を描き進めていたアーム。無事完成したようです。
そして今度はひとり、陶芸で豚の貯金箱づくりをはじめました。
☆ボーイ(13歳)
彼に驚きとこの笑顔をもたらしたものとは、、、!?
なんと小鳥が、ボーイの作った"おばけの家"の中に巣を作ったのです。
お化けの家の中には、小枝や枯れ葉を集めて作った暖かそうなベットが、、、良く見ると中央にくぼみがあり、ほんのりピンクがかった小さな卵が3個あります。
子どもたちがたくさんやってきて騒がしくしたので親鳥が驚いてしまったようでオロオロ、その後のシラパの時間内には、帰ってきませんでした。無事、雛に孵ってくれるといいのですが、、、。思いにもよらない方向で作品が完成となったボーイでした。
☆ゲン(13歳)
相変わらず楽しそうにタンの手伝いをするゲン。タンから譲ってもらった小さな家を柱につけました。鳥、入ってくれるかな、、??
☆タン(13歳)
タンは、変わらず自分の頭を使って色々と試行錯誤しながら、鳥かご作りを続けています。
来週には、完成しそうです。
タンの勢いは、男の子たちを魅了し、続々とぼくもやりたいと集まってきます。
今は、それぞれ自分の考えで制作を進めています。観察しているとやはり簡単な方向へ簡単な方向へと流れる傾向があります。まず、セローテープで、ものとものをくっつけることを禁止するとボンドへ、、ボンドの乾きが待てないので瞬間接着剤へ、、。また、今は、すでにある既製の木の棒をくっつけて形を作っている彼らですが、これを一度完成させ、今度は作る物に対して木の板の長さを測り、のこぎりで切るなど、物を加工する作業や釘を打ったりと素材や場に適した接合方法を教えていきたいと感じています。
その他、プロイ(13歳)、ゴイ(17歳)、ミウ(14歳)、ダーオ(12歳)、ガンニガ(18歳)、メーレック(14歳)スーワイ(13歳)は、小さい子に混じって寄付でいただいた自分の好きな絵を描けるパズルの上に絵を描いて楽しんでいました。
出来上がったパズル(抜粋)
どうやら、愛の告白のプレゼントに利用する子が多発の様子?、、??
(左上)メイレック (中上)ジンダー (右上)タム
(左中)タム (中中)ジンダー (中下)パヌ
(左下)オン (左中)ゴイ (右下) ダーオ
☆ベン(10歳)
小さい子も大きい子もパズルづくりに夢中になる中、静かに釉薬を塗り、無事に陶芸のお面が焼きあがり!少しヒビが入ってしまいましたが、とってもうれしそうなベンでした。
SHINRAPA!! NEWS|2011/06/23 (木)
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