写真日記
SHINRAPA!! NEWS Vol.9 / 10・17 JUL. 2011
自由な発想力を元に子どもたちが少し苦手な自主性、責任感、持久力を高めるためのプログラム、それは、自分から「やってみたい」と言い出した言葉に責任感を持たせ、自分の力で完成させるプログラムです。私たちは、やり方を教えるのではなく自分で考えて決断し実行できるよう後押しする手伝いをします。そんなみんなのがんばりを毎週お届けします。
※13歳以下の子どもたちは、絵画や粘土(陶芸)などこちらで用意したものの中から自由に選んで制作し、13歳以上の子どもたちは、やりたいことを自分の手で見つけ出し制作に挑んでいきます。
☆アーム(17歳)
ひとり黙々と陶芸で豚の貯金箱を制作していたアームですが、残念ながら素焼きで爆発してしまいました。乾燥には2週間費やしたので、原因は、素地に空気が入っていた、もしくは素地が厚すぎたものと思われます。これまで何人かの子どもの作品が爆発を経験しています。その多くの要因は、前者の可能性が高いと思われます。というのは、陶芸の大切な作業である土をしっかりこねる作業を煙たがれるほど監視して指導しないと、子どもたちはこの作業を省いてしまうのです。今回は、いつのまにか作りはじめていたので私たちも見逃してしまいました。"めんどくさい"のか"逸る気持ちをおさえられない"のかは、それぞれだと思いますが、この練る作業ひとつにしても"練る"ことには土の中の空気を押し出す効果だけではなく、練りながらイマジネーションをひろげたり、次の作業を予測したりと大切なことが隠れていることに気がついてくれればと思います。そうすれば、普段の生活の中にもそのような事柄を見出せ、様々なシーンでそれらの経験を生かしていけるのでは、、、?と思うのですが。
☆タン(13歳)
タンは前回、材料集めから、構想、製作、片付けまできちんと1人でやりきり、ダンボールに竹串や発砲スチロールを付け加えた鳥かごと水陸両用の戦車を完成させました。そこで、今回は、こちらから新たな素材への挑戦を提案、のこぎり、かなづち、釘を使って、実際に使える鳥の巣箱作りをはじめました。
他にもやりたい子がいるか子供たちに尋ねたところ、☆スラチャイ(17歳)、☆ゲン(13歳)、☆オン(13歳)、☆ミウ(13歳)、☆ダーオ(12歳)の5人が参加してきました。
上左: あぶなっかしいミウ /上右: はりきってタンを指導するスラチャイ
下左: 飲み込みの早いオン / 下右: イトノコの使い方を習うダーオ
はじめに、子どもたちが道具を使えないことに驚いたのですが、聞いたところ初めて使うとのこと!今のタイの小中教育には、工作の時間は無いそうです。工作って情操教育にもつながる大切なものだと思うのですが、驚きです。ホンの時代には、あったとのことなのでいつ廃止になったのか調べたところ、6,7年前頃に廃止となったようです。日ごろ、子どもたちの自主性や集中力の無さが気になっていたのですが、それは、子どもたちだけの問題では無く、社会との密接な関係があるのではと感じはじめた私たちです。
そうこうしているうちに、はじめての体験で無理もないのですが、2回目の制作日には、スラチャイが欠席し、オンとダーオがノコギリの作業をほんの少ししただけで、「(手が)疲れたので、今日は帰ります。」と言って帰ってしまいました。
「みんな逃げ帰ったな。」とつぶやいたタン。
タンには、優れた部分がたくさんあります。まず、1回目の制作でノコギリがうまく使えなく曲がってしまい苦笑いをしていたのですが、1週間後の2回目の制作日に「曲がったまま進むと、全て曲がって行っちゃうんだ、ピーホン(ホンお兄さん)、僕、もう一度やり直したい」と宣言、やり直しても、さらに少し曲がってしまう、そうするともう一度やり直すといったことを繰り返すことができるのです。また、作業がうまく進まない子を見かけると、自分の手を一旦休めて迷わず手伝います。さらに、うまくできないタンに道具の使い方が間違っていると注意すると、すごく悔しそうに、まるで聞いていないかのような頑固な表情を浮かべるのですが、その後、必ずアドバイスを試し、その結果、前より上手く出来たときは、嬉しそうに報告にきます。
切り口に鑢をかけるタン。
5時を廻ったので、「タンもサッカーの練習で疲れたんじゃない?今日はその辺にして来週にしたら?」と声をかけたところ「サッカーは、趣味だから、後、鑢がけまでやっちゃうよ。」と答え、1時から5時過ぎまで、ずっと集中して作業に没頭していました。タンを見ていると、先の作業を見通して作業しているのがわかります。まさに工作で学ぶべきことをきちんと習得している様子、思わず、まっすぐで頑張りすぎるタンが将来、タイ社会の中で傷つかないかなどど、余計な心配をしてしまう今日この頃です。
☆ゲン(13歳)
ホンが用意した見取り図も見ず、人の意見も一切聞きませんがノコギリを振り回して嬉しそうに作業に没頭するのは、ゲンです。長さも一切図らないのですが、切り終えた人のをこっそりもってきて線を引き、切っていく、、それでも不思議とサイズがあっているのがゲン流。大声で歌いながら、時にノコギリをギターに例えて飛び回り、でも作業の手は止めない、ゲンにはゲンの流れがあるんだな、これはこれでゲンの特長、優れているところです。ただ、ゲンの作業中は、チビっ子組の立ち入りは、禁止です。本人は集中して楽しんでいますが、大変、危険なのです。
釘も打てるだけ打ちます。
☆アーパイ(7歳)
「あぶないよ、あっちで待ってて」と言っても聞かないアーパイ、今、アーパイは何かを作ること、何かを作っているピー(お兄ちゃん、お姉ちゃん)たちを見ているのが楽しくてたまらないようです。
作業に見入るアーパイ
先週の続き、紙粘土のバービーちゃんに着色し完成させました。来週は、何をするのかな?
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