写真日記
子ども会議
平日の夕食が済むと、子どもたちはノートや鉛筆、教科書を手に三々五々食堂に集まります。19時過ぎからの"子ども会議"なるものに参加するためです。会議が始まるまでのつかの間の時間はおしゃべりをしたり、宿題をしたりして自由に過ごします。
子ども会議というのだから、子どもの議長がいるのかなと思ったら、議長はこの人、スタッフのベン。
ベンの他、スタッフのノイ、その日のシフトに入っている保父・保母も参加します。
現在子どもたちはチェンマイ市内の8つの学校に通っていますが、会議では各学校の先生からの連絡事項を確認したり、ホームでの子どもたちの洗濯や掃除、朝食の当番を確認したり、必要な文房具や教材、衣服などに不足がないかどうか、誰か宿題のある子はいないかなどを確認します。何か悪いことをした子どもが怒られたり、逆にいいことをした子どもが褒められたりするのもこの会議の場です。
男女別に2冊あります。
この連絡帳に子どもたちの毎日の体調や、日々の様子、生活態度などについてが、こと細かに書き込まれています。どの子が寝坊した、当番をさぼった、ご飯を残した、夜更かしした、ウソをついた、などといったこともみーんな書かれているので、子どもたちにとっては、いわば閻魔帳。
この日はベンが閻魔帳を開いて「アーパイはあまり歯磨きをしません」と大声で読み上げました。さっきまで私のカメラに笑顔を向けていたアーパイの顔がこわばります。が、いつもだったら、ベンにギロリと睨まれただけで泣きべそをかいてしまうアーパイですが、今日は歯磨きをしない理由を問われて、ちゃんと答えることができました。「歯磨き粉がからいからです」と。
これにはベンも納得。アーパイは怒られるどころか、怖がらずにきちんと理由を言えたことを褒めてもらえました。そして、幼児用のフルーツ味の歯磨き粉を買ってもらえることになりました。
メー・ミサトも胸を撫で下ろしたよ。
アーパイは翌日の子ども会議では、今度は別の加斗で咎められました。
ベンが閻魔帳にちらりと目をやって「最近おねしょをしてる子はいないかな?」 するとすかさずアーパイと同室のスワイが「アーパイです」 妹をかばってやろうにも、閻魔帳に書かれているのは明らかなのですから、ここは正直に言ってしまった方がよさそうです。取り調べの結果、アーパイが寝る前にちゃんとトイレに行っているにもかかわらずおねしょをしてしまうことが発覚したので、今後は同室のスワイとアームが深夜零時にアーパイを起こしてトイレに連れて行くことになりました。取調中は泣き顔だったアーパイも、ベンとスワイお姉ちゃん、アームお姉ちゃんに「おねしょをしないように今日から頑張ろうね」と優しく声をかけてもらい、そして、小さな菓子箱までもらって、最後は笑顔になりました。
"鬼の教官"の異名を取るベンだからといって、厳しく叱りつけるだけではないのです。ちょっとベンを見直した私なのでした。
タムについてはまたいつか。
大塚 美里|2011/08/03 (水)
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