ベン「児童養護施設の子どもたちのためのサッカーワールドカップ」タイ代表選手に決定
はじめまして。2017年2月にバーンロムサイのスタッフとして参りました山下曜子と申します。以前からタイにはご縁があり、留学や仕事で南部のソンクラー県やバンコクで暮らしたことがあります。しかし、タイ北部での暮らしは初めてで、食べ物や言葉、工芸品など今までに触れたことにない文化がたくさんあり、新鮮な気持ちを味わっています。
さて、私がバーンロムサイに到着して早々、バーンロムサイのサッカーチーム「ロムサイFC」史上最大の嬉しいニュースが入ってきました。タイ人スタッフ、日本人スタッフ、大人たちが大興奮。
そのニュースとは…
男の子の最年長(16歳)ベンが、2017年7月15日から19日にポーランドの首都ワルシャワで開催される「第5回 児童養護施設の子どもたちのためのサッカーワールドカップ(The 5th Football World Cup for Children from Care Homes)」のタイ代表10名に選ばれたのです!
ロムサイFCの練習風景
「児童養護施設の子どもたちのためのサッカーワールドカップ」には、世界各国から選抜された児童養護施設で生活する子どもたちが国の代表として参加します。2016年に行われた第4回大会には、26カ国の子どもたちが参加したそうです。
この嬉しいニュースに、美和さんは「ベンってそんなに上手だったの?!」と驚きを隠せません。ウェウ先生は、「私も一緒にポーランドに行くー!」と大騒ぎ。
タイでは、2017年2月2日から4日にかけて、バンコクの北に位置するパトゥムターニー県で選考会が行われました。チェンマイ県からは既に県の選考会で6名の子どもが選ばれており、ベンもその中に入っていました。バンコクでの選考会にはタイ全土から110名が参加。三段階の選考が行われました。
ロムサイFCの監督ダムさんによると、ベンの良いところは、とにかく一生懸命で、真剣に取り組むところ。練習試合でもいつも本番のような気持ちでゲームに臨んでいるそうです。
ベンにとっては、全てが初めての経験。初めてのグラウンド、初めて会うライバルたち、初めての全国レベルの選考会。
第一選考では、緊張して体が硬くなってしまい、全然動けなかったそうです。第一選考が終わり、ダムさんがベンを呼んで話を聞くと「緊張して、手が冷たくなって、体が思うように動かなかった」とのこと。ダムさんは、「とにかく自分の力を出し切ればそれでいい」と声をかけ、第二選考へ。第二選考では、第一選考とは打って変わって、良い動きになりました。
ダムさんと2人でバンコクに向かうベン
パトゥムターニーで行われた選考会
身体能力を見るものから、サッカーのテクニックまで様々な選考が行われ、第三選考に残ったのは20名。第三選考では10対10に分かれての試合が行われました。最後に残るのは16名。
ベンは、見事その16名に選ばれました。その後、書類審査を経て、見事タイ代表選手の10名に決定!!!
たくさんの大人たちに見られながら…
緊張したことでしょう
見事代表選手に選ばれました
ベンは、8歳の時にサッカーを始めました。ロムサイFCは、当初は、HIVに母子感染したホームの子どもたちの体力作りのために始められました。ベンもサッカーを始めたころとは見違えるほど立派に成長したとダムさんが話していました。
弟妹たちと楽しそうに練習するベン
ベンは小さい子たちのお手本
ケンに指導するベン
貫禄あります
見事なキック!
ダムさんの指導を受けるベン
サッカーボールを追うベンは真剣な表情
今は、バーンロムサイ以外の村の子どもたちもチームに入って一緒にプレーしています。ホームの子ども11名、村の子ども約20名の大所帯です。
ホーム開園当初は、村の中で差別され、誰も寄り付かなかった場所…今ではそれが嘘のように、毎週土日には練習を終えた子どもたちがホームの食堂で肩を並べてお昼ご飯を食べています。練習後に、同じコップで水を飲む子どもたち…昔の状況を考えると信じられないような光景だとダムさんが嬉しそうに話してくれました。
ロムサイFCは、バーンロムサイが地域に受け入れられるきっかけとなった大切な活動です。
バーンロムサイの子どもたちにとっては、サッカーをするだけでなく、村の子どもと知り合って友達になったり、外の世界を知ること大切な機会。そこにもこの活動の大きな意義があります。
村の子どもたちとの練習風景(ダムさん撮影)
昨年のチェンライキャンプ出発の朝
ロムサイFCはダムさんを中心とした
大きな家族
ダムさんは、特にバーンロムサイの新世代の子どもたちの指導に力を入れています。今までにスポーツ奨学金をもらい進学した子もおり、ホームの子どもたちの将来の選択肢を広げることも期待できます。これから10年先を見据えて、子どもたちの将来が楽しみだとダムさんは目を細めていました。
今回ベンが国の代表選手に選ばれたことで、小さい弟たちは、将来自分たちもそのような舞台で活躍できる可能性があるということがわかり、勇気づけられるだろうと思います。
真剣にやっているけれど、
コミカルな動きで周りの笑いを誘うチャイ
ヘディングの練習をするガムペーン
キックの練習
まずはサッカーを楽しむことが一番
未来のロムサイイレブン
ベンは、夏休みの間、バンコクで行われる強化合宿に1カ月参加します。3月31日出発。どんな気持ちでいるでしょう。「ドキドキする?」と聞いたら、クールなベンは「別に」と言っていましたが、いつもよりにこやかな気がするのは私だけでしょうか。
バーンロムサイに来て、サッカーに出会い、ダム監督、仲間に出会い、サッカーが好きになり、身体も丈夫になり、それだけでも喜ばしいことですが、まさか国の代表選手に選ばれる子が出てくるなんて!ベンがこれから初めて外国へ行って、どんな体験をしてくるのか今から楽しみです。
ダムさんからバンコクへ行くに当たっての
注意を受けるベン
みんな応援してるよ!
~おまけの写真~
オフィスのベンさんに「これ誰だかわかるか?」と聞かれ、しばらく考えました…
ああ!子どものころのベン!
(佐保美恵子氏著『生きるって素敵なこと!』
裏表紙)
立派な青年に成長しました。
山下曜子 | 2017/03/27(月)
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