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しっかりそして楽しく生きなさい!

11月1日の麻生の日記にもありますが子どもたちがバーンロムサイから巣立ち始めました。http://banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10003

バンコクの孤児院から一緒にやって来たテンモー、アームとヌンが奇しくも同じ日にバーンロムサイから引っ越しました。バーンロムサイに到着した日の事が思い出されます。テンモーとヌンは「帰りたいよう」と夜になっても泣き続け身の回りの荷物を入れた小さなリュックを背負ったまま寝てしまいました。孤児院から孤児院へ、、、小さな子どもにとって住み慣れやっと友達も出来たと思ったらそこからまた引き離される、誰一人知った顔のいない場所に突如放り込まれる。ここに来る前に何回もそれを繰り返してきた子ども達。どんなに不安だったことでしょう。もしもバーンロムサイから出られる時が来たとしたら自分の意志で「喜んで出て行って」もらいたいとその頃から思っていました。

今回の巣立ち組の一人ミルク。親を亡くした小さな時から親戚たちに振り回され親戚の家を転々とし最終的にチェンマイの国立孤児院へ預けられそこからバーンロムサイにやって来ました。バーンロムサイに来てからも親戚には振り回され続けました。父方の叔母は、「今は私の体の具合が悪くて引き取れないけど元気になったら必ず引き取るからね」と約束、その日を楽しみにミルクは一年以上待っていました。ついにその日が来て荷物を整理し待っていたミルクに「やはりHIVに感染しているあなたを引き取る事に周りの親戚が反対しているので引き取れない」といとも簡単に約束を反故。一人部屋の前で泣いていた11歳のミルクを思い出しました。

法律だからと言って、一生薬を飲み続けなくては命を守れないHIVに感染した子どもたちに、18歳になったからと言って施設から出てゆかせてよいものなのか。バーンロムサイではその子たちが手に職を持ち本当に自立して生活が出来るまでは面倒を見ようとの考えで運営してきましたので、彼らがバーンロムサイを離れても学校を卒業し実際に自分たちで稼げるようになるまでは物心両面のサポートは続けてゆきます。

アームはこのまま踊りの勉強をし、踊り子になれなかったとしても踊りの先生になれるでしょう。そしてヌンは自動車の修理と言う技術を身につければそれで生きてゆけるでしょう。しかしミルクは学校で習っているコンピューター操作と会計を少し勉強しただけだと事務方としてどこかの会社に就職する事になるでしょう。その際HIVに感染していると言う事実が就職の妨げに未だなっているタイの社会を考えると彼女がすんなりと働きたい会社に就職できるのか、、、、そう考えると「手に職=技術」を習得する事の大切さを痛感します。ナットもバーンロムサイを離れ友人の大学生の家に住み込み、大学入試の為に猛勉強中です。小さな時から日本に留学したいと言う夢を持っているナット、大好きな日本で感染が理由で差別され、日本が嫌いになったらどうしよう、、

考え出すといろいろなことが心配になります。でも引っ越した6人全員が「外に住みたい!」と言い切ったのですから、自分の意志で出て行ったと言う事です。生きてここを出られなかった10人の子どもの分もしっかり生きて欲しい!!さあ、しっかり生きなさい!!です。

そして先月の日記にも書きましたがホームを離れざるを得なかったガンニガ。
http://banromsai.jp/photo_diary/picker.cgi?target=../new_photo_diary/2011/10/post-762.html
十人十色、それぞれが自分のペースでそれなりに気持ちよく生きていかれればよいのです。

6人の子どもがバーンロムサイを離れて行きました。来年の春には新たにまず3人の小さな子どもを引き取りたいと思っています。「いつ新しい妹や弟がくるの?」とすでに聞かれています。去るものあれば、来るものあり。

今朝、今年初めての朝顔が私のテラスで咲きました。

タイの洪水は多くの被災者を生み、いろいろな国々に多大な経済的な影響を及ぼしています。この事を被災されたバンコクに工場をお持ちの日本人経営者が的確にわかりやすく綴られているブログがあります。是非お読みください。
「チャオプラヤ河岸の25時」 http://kawaguchi.mo-blog.jp/blog/

お陰様でチェンマイは乾季に入り市内もまたバーンロムサイのあるナンプレー村も申し訳ない程、穏やかな日々が続いています。

名取 美和 | 2011/11/05(土)

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