チェンマイのお葬式
少し前の話になりますが、夫の親戚が亡くなり私はタイでは初めて火葬まで見届けることになりました。
タイのお葬式は通常1週間ほど続き、その間毎日お参りに来る人たちをおもてなしします。
この日は火葬前の最後のお参りの日。
たくさんの人たちと何人かのお坊さんがいらっしゃり、まずは棺の入った箱の解体。
1週間ほど遺体を保管しなくてはいけないため、棺の外側にさらに冷蔵庫の役割を果たす箱があってそれに棺が入っているのです。
電飾でピカピカに飾られている光景は初めて見ると驚きます。
火葬場へ運ぶ直前、遺体に向かってこれからあなたを火葬場へ移動させますよ、という意味を込めたお坊さんのお経があり、みんなで棺を担ぎ出します。
車に積まれた棺はあっという間にきれいに飾り付けられました。
棺の後をみんなでぞろぞろ歩いて火葬場まで向かう光景を何度か目にしたことはありますが、今回は車を使っての大移動。
そしてこれも初めて見る、恐らくチェンマイならではの儀式。
亡くなった旦那さんがこの世に残された奥さん始め家族などに未練が残らないようにと、その人の思いを現生から断ち切るという意味の儀式。
突然現れたお坊さんとは違う村の人。
なんだか少し素敵な儀式に思えました。
そして火葬場に到着。
お坊さんが最後にお経を唱え、人々が交代で最後のお参りをし、身内が最後に遺体と対面。
と、ここまでは本当に厳粛なお葬式、これで火葬されてしまうんだ、という気持ちでした。
ところがいざ火葬となった時に、うちの夫がこっちにきたら全貌が見えるから、ここに座ったらいいよ、と。
一体何が始まるの?と聞いても、いいから良く見ておきなさい、みたいな。
あれ、なんか煙が出てきた、と思ったら時既に遅く、点火の瞬間は見逃しました。
というのも棺が入った場所からはかなり離れたところで点火されたから。
そしたらあれよあれよという間に煙が充満、離れたところで点火した火は、火葬場まで張り巡らされた導火線をシューっというものすごい音とスピードとともに突き進み、途中、黄色い煙は出るわ、爆竹は鳴るは、のものすごいショーでも見ているような光景。
最後は、パンパンパーンッと花火が上がりました。
この一瞬の(といっても15秒とか20秒くらいはあったと思います)出来事に私は始終唖然。
ずっと「え~~っ?!」と言っていました。
そう、そして気付いたら最後にはちゃんと火葬場に火が点灯されているということなのでした。
なんじゃこれは、というのが正直な感想。
夫によるともっとお金をかける人はさらにものすごい花火などを使うそう、でもそれも身内が望まなければ何も行わないこともあると。
こうすることで棺に火をつけるというつらいことに直接目を向けずに済む、ということもあるそうです。
チェンマイでは時々派手な花火の音などを聞くことがあると、どこかでお葬式かな、と言います。
やっとその意味がわかったのでした。
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上田 真理子 | 2014/01/21(火)
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