「ダーイ、ダーイ」と「マイペンライ」
暖かかった年末年始でしたが、チェンマイの乾季がやってきた!と感じる昨今です。朝早く散歩に出ると吐く息が白くなり、ダウンにパーカーにタイツにマフラーなどなど、日本での防寒具がしっかり役にたち、そして朝晩の空はキリリとしていてとても気持ち良い空気。夜の星空や明け方の空の色は本当に綺麗です。日中のそれなりの暑さとの寒暖の差が激しく、風邪をひく人も多い季節。でもバーンロムサイの子どもたちは誰一人風邪もひかず元気に2016年を迎えています。
私は最初特にタイが好きというわけではなく、辛い料理は大好き!というくらいで、ここバーンロムサイで働き始めたのですが、チェンマイの水があっていたのでしょうか・・?! 気が付いたら11年も住んでいます。そしてこの国に長く居る事が出来る理由は、「ダーイ、ダーイ」と「マイペンライ」なのかな、と感じるのです。
「ダーイ、ダーイ」は何か相談やお願いごとをした時に「できる、できる」と、自信を持って「お任せください」くらいの勢いで答えてくれる時に良く聞きます。この時の安心感はかなりあるのですが、それが本当にできるかできないかはまた別の話し。でもたとえそれが何かの理由で出来なくても、殆どの人が「ごめんなさい」とは言わず、「マイペンライ=大丈夫、大丈夫」となるのです。なんであなたに「大丈夫」と言われなくてはならないのだ!と、もちろん腹がたつこともありましたし、「まずは謝るべきなんじゃないか!!」と思う事もありましたが、でもあまりの悪気のなさに、なんとなくこちらも「ま、いいか」と思ってしまうのです。
そしてこの「ダーイ、ダーイ」(なんとなく近くに居るタイ人の多くがダブルでダーイを使います)に「マイペンライ」をくっつけると、「全然平気、心配することなんかな〜んにもないから」というさらに強力な言葉になるのですが、それでもダメだった場合、謝らず、そして「マイペンライ」で終わります。人にもよりますが何故か憎めないのがここタイランド。
以前バーンロムサイ主催で村の子どもも一緒にという運動会を開催することになったのですが、本当に明日ですか?!と疑いたくなるくらい、全く準備をしていません。「大丈夫?間に合う?」と聞いても「ダーイ、ダーイ、マイペンライ」とタイ人スタッフ。当日の朝にスピーカーを手配という離れ業をやり、ちょっと遅れただけでなんと運動会は無事開催され、気が付いたらとても楽しい運動会だったと皆が満足して終了。そう、色々あっても最終的に辻褄があうことも多く、途中の心配はただの取り越し苦労。最近は先のことをあまり心配せず「きっと何とかなる、大丈夫」というタイ人気質にドップリ浸かり始めました。
バーンロムサイの大工の棟梁チャイさんも、昔から「ダーイ、ダーイ」と「マイペンライ」の達人です。そしてチャイさんがちょっと高音の声で「ダーイ、ダーイ」と言ったら必ずそれは大丈夫になり、特にかつて居た多くの日本人ボランティアたちの棟梁への尊敬の念と信頼度はかなり高かったのです。しかしここ最近はよる年波に勝てずというか、時々「ダーイ、ダーイ」が「あれ?!」という時も増えて来てはいるのですが、やはりチャイさんの「ダーイ、ダーイ」を聞くと一度はとても安心するのです。
11年前のチャイさん
チャイカットは今も同じ
この国にきて、天然のなんとかなるさ精神にどれだけ助けられたことか。タイが、そしてタイ人が好きな理由が、そして11年もここに暮らしている理由が、なんとなく分かって来た今日この頃なのです。
麻生 賀津子 | 2016/01/10(日)
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