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「1965年・19歳の冬・日本へ帰国」

3年間のドイツでの勉強を終え、そろそろ寒くなり始めた11月、ミュンヘンから汽車で南フランスのマルセイユに向かい、そこから船で帰国の途につきました。

19世紀からすでに欧州と日本を往き来していたフランスMessageries Maritimesの極東航路定期船(通称MMライン)の「ラオス号」にマルセイユから乗船、日本まで45日ほどかけゆっくりと帰国しました。
飛行機より安く、当時はシベリア鉄道に並ぶ格安渡欧手段として多くの日本の若者がこの航路を利用していました。私の乗った「ラオス号」の他「ベトナム号」「カンボジア号」と旧植民地の国名を冠した3隻が極東航路に就航していました。

私が乗ったのは一番安い3等、船室は船底に近い四人部屋、当時の価格で15万円ほどだったと思います。まだ格安チケットもなく正規航空運賃は船賃の倍以上したのではないでしょうか?帰国後就職したデザイン会社での初任給が2万7000円だったことを考えると海外へ出るのはまだまだ大変な時代でした。

等級がはっきり区分けされているのが船旅。
私たち3等船客のプールは甲板に置かれた3m×4mほどの湯船のようなもの、プールに入るのに梯子を上って入らなくてはなりませんでしたが、1等船客用プールは上部甲板に床と水面の高さが同じ普通のプール、、、食堂も別、もちろん食事の内容も天と地ほどの違い、、、客室階も別、、往き来ができないよう施錠してあり何から何まではっきりと差別化されていました。

3等船客の朝食は何となく湿気たフランスパン+バター+ジャム+コーヒー+ミルクが食堂の片隅に置かれており、セルフサービスで食べ放題、飲み放題。コーヒーはコーヒー豆から作られたものではないと思われる代用コーヒーでしたが他に選択肢はなし。昼も夜も同じようなシチュウか焼いた肉がメイン、それに豆とポテト、または豆とライスが一つのお皿に盛られ出てきます。しかしさすがフランス、毎食キャラフェ入りの赤ワインがテーブルに置かれていました。しかし船が揺れだすとこのキャラフェが落下防止の縁の付いたテーブルの上をスルスルと行ったり来たりし始めます。そして揺れるに伴い増えるのが船酔いになる人。私は全く船酔いをしないタイプでどんなに揺れても大丈夫なのですが、船内に充満する嘔吐の臭いに気分が悪くなり、そんな時は毛布を持って甲板に出て星空を眺めながら寝たこともありました。

船はマルセイユを出港、二日ほどの航海の後最初の寄港地エジプトのアレキサンドリア港に到着。たった二日間の船旅なのに下船したにもかかわらず体が揺れ何とも不思議な感覚でした。3等船客は全員、同じバスに乗せられカイロに向かい、ギゼのピラミッドを観光している間に船はスエズ運河の入り口のポートサイドに移動、船客はそこでまた乗船、紅海を抜けアラビア海に面した次の寄港地イエーメンのアデンに向かい航行しました。海の色が濃かったこと、そしてどこまでも抜けるような青い空、、、の記憶があります。でもこの青い空は航海の間中続きました。陸地の近く以外では雨がほとんど降りませんでした。夜空を埋め尽くすほどの星、そして流れ星の多さには本当に驚かされました。

マルセイユから一緒に乗船した人の中には9歳の時に渡英、29歳になるまで一度も日本に帰国したことがないと言う男性や、数年パリで過ごしたという女性、イギリスで医学の勉強をしていたという三十代のご夫妻、地元岡山に戻り英語学校を開きたいと言っていた男性など十人前後の日本人の他に、香港に就職が決まったという二十代の女性二人、ドイツの若者、そして途中から乗船してきたインド人などを覚えていますが、、、、すでに47年も前の出来事、そろそろ記憶の彼方に消えてしまいそうです。

「極東定期航路」なんと素敵な響きでしょう、この定期航路がなくなってしまったのは本当に残念です。あの時、もっとしっかりといろいろ記録しておくべきでした、、、今は船旅と言うと豪華な客船による「船旅を楽しむ旅」だけ、移動手段としての安価な航路の多くが消えてなくなりました。

アデンからインドのボンベイ(現在のムンバイ)、セイロン島(現在のスリランカ)のコロンボ、バンコク、寄港するはずのサイゴンは戦闘が激化していたため寄港できず、シンガポール、香港、神戸に寄港、クリスマス間近の横浜に到着するまでの四十数日の船旅。いろいろな出来事、これらか少しずつ綴ってみるつもりです。

「このところ雨の多いチェンマイです」

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■バーンロムサイ鎌倉店より:春夏物セールのお知らせ

9月6日(木)より、バーンロムサイ鎌倉店では「春夏物セール」を行います。商品が無くなり次第終了いたしますので、どうぞお早めにご来店下さい!!皆様のお越しをお待ちしております!

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鹿児島県/加治木町のギャラリーDOMAにて、バーンロムサイ展を開催いたします!


9月8日(土)より9月17日(月)まで、加治木町のギャラリーDOMA(ドーマ)にて「バーンロムサイ展」を開催いたします。残暑も快適にお過ごしいただけるタイパンツやタイスカート、ワンピース、夏物のトップスなどの他、少しだけ秋物のアイテムも展示…人気の古布やさき織りのバッグなどの雑貨もご用意し、皆様のご来場をお待ちしております。

初日8日(土)の13:00から、バーンロムサイの活動紹介DVDとスライドの上映、バーンロムサイジャパン代表・名取美穂によるお話会も開催されます(参加費無料)。ふるってご参加ください。

DOMAさんは、100年以上も前に建てられた旧家の木造家屋の土間を利用した古風なたたずまいのギャラリー(DOMAという名前の由来だそうです)。広々とした敷地、心落ち着く素敵な空間、、、そして九州で8番目に大きいと言われるコガモチの巨木が来る方を迎えてくれます。ぜひ足を運んでみてください!


■ 鹿児島/加治木 ギャラリーDOMA(ドーマ)
「バーンロムサイ展」
期間: 2012年9月8日(土)~9月17日(月)
時間: 11:00〜18:00  *会期中無休
場所:〒899-5214 鹿児島県姶良市加治木町仮屋町81
(*高速加治木インター出口で左折、2つ目の信号を右折して
 約300メートル 柁城小学校前。)
またはJR加治木駅を右に出て徒歩5分
TEL. 0995-55-7077

名取 美和 | 2012/09/07(金)

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