「想像力」が「世界」を変える
「世界の貧困を解決したい」
こんな風に夢見ることはあっても、それを本気で信じて、世の中の仕組みを根本から変えていこうとするのは大変なことです。でも私の友人に、その困難な課題に正面からぶつかり、アジアを駆け回っている人がいます。
本村拓人。私と同い年の28歳。バーンロムサイの熱烈なファンでもあり、先日もゲストハウスに滞在したばかりです。
彼は2008年に「Granma」という会社を立ち上げて以来、「貧困」を”イマジネーションが枯渇している状態”と定義して、その「枯渇」を補うべく、様々なアプローチで日本社会にもインパクトを与え続けています。2010年には「世界を変えるデザイン展」(
http://exhibition.bop-design.com/)を開催。来場者数は20,000人に上りました。
そんな彼がマレーシア政府主催の「ワールドイノベーションフォーラム2012」に招待され、分科会のオーガナイズを任されたと言うので、撮影のアシスタントとして3日間クアラルンプールまで行ってきました。
インド、バングラデシュ、ネパール、タイ、マレーシア、カンボジア、フィリピンetc….世界12カ国、20の組織から集まった人々が「草の根から始まる技術革新(グラスルーツイノベーション)」について議論する3日間。
正直言って議論についていくだけで大変…でした。でも、国境も文化も人種も越えて、アジア中から集まった若者達が「これからの社会の在り方」や「社会の課題といかに対峙するか」について議論する、その「熱量」だけで、私自身の価値観も変わってしまうくらいの強烈な体験となりました。
Granmaが次に目指しているのは、「グラスルーツイノベーション」という新しい「革新」の在り方を世界中に広めることです。
「グラスルーツイノベーション」!?何だそれは!?
…このフォーラムに参加するまで私もそう思っていました。でも、話を聞いてみると、それがとっっっっても面白いのです。
例えばインド。
インドの貧しい地域では多くの人が生理用のナプキンを使っておらず、汚いラグを使うことがほとんど。もし資本主義経済の仕組みに従うなら「みんなでお金を儲けて、ナプキンを買おう!」となるところですが、とある貧困地域に暮らす男性が、低コストでナプキンを作る機械を自ら開発したのです。この機械は、世界中の貧困地域に輸出され、貧しい中でも多くの女性がナプキンを使うことが出来るようになったそうです。
いま、同じような「面白い」技術革新が、世界中で起こっています。
粘土で作る無電化冷蔵庫、充電式三輪車、低コストで作るバイオマス発電機などなど。。
それらの多くは最低限の施設、機材、資源を活かして作られたものなので、環境負荷も少なく、持続可能性が高く、何より今までの経済システムとは真逆のアプローチで「貧困」を解決しています。
道端や、農村や、スラム街や、小さな工房・工場で起こっている技術革新。それが「グラスルーツイノベーション(草の根の技術革新)」なのです。
「でもそれって日本には関係ないじゃない??」
私もそう思っていましたが、果たして本当にそうでしょうか??
「カネを稼げ!豊かになれ!」ではなく
「限られた資源と財源で快適に生きようよ!」という発想自体は
日本社会にも普遍化出来るものだと思うのです。
日本の不況は5年先には本物になるでしょうし、とりわけ3・11以降、原発の問題を抱える日本において、非持続可能なモノづくりや、経済システムの在り方に疑問を持っている人は増えているはずです。「カネ、カネ、カネ」ではなく、「限られたモノで快適に生きる」という発想自体は、必ず閉塞感に溢れた日本社会への効果的なアプローチになると思うのです。
美和さんと拓人
大切な友人が新たに進めている、プロジェクト(
http://readyfor.jp/projects/napkin/)。
私も同じ船に乗り、「想像力が世界を変える」という挑戦的な試みに、共に取り組んでいきたいと考えています。そしてバーンロムサイも、「限られたモノで快適に生きる」寄付だけに頼らず「気持ちよく稼ぐ」というやり方を今後しっかり確立する事で、全く新しい価値を世界に提供出来るのでは、、とワクワクしています。
谷岡 碧 | 2012/11/11(日)
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