ダーオ
ある日曜日の午後のこと、食堂でダーオがゲンとサーサーに絵本を読んであげていました。14歳、ついこの間まで読んでもらう側にいた彼女が、すっかりお姉さん顔になっていて、なんだかとても嬉しい光景だったのです。
ゲンとサーサーはダーオ姉さんの話に夢中です
両親がエイズを発症して亡くなった後、一緒に住んでいた祖父母からはHIVに感染しているということで一緒に食事もしてもらえず、洗濯やシャワーも一人でやり、寝る場所も別、汚い服を着て近所を歩き、ダーオは道端で歌を唄ってお金を稼いでいたという辛い経験をしています。まだ3歳の時です。その話しをスタッフの親戚から聞き4歳になったダーオを2002年11月にバーンロムサイが引き取りました。
ホームに来た時に「私、ご飯作ったり、お皿を洗ったり、洗濯したり何でも自分で出来るのよ!」とバーンロムサイに居たい、あの家に帰りたくない!という思いで、必死にアピールしていたダーオ。 翌年の初めてのロイクラトーンで夜空にあがるコムローイを見ながら「ダーオ(星)だね、綺麗だね」と何度も何度もつぶやいて空を見上げていたダーオ。
ホームでの生活が落ち着いてから、祖父母の居るガンペンペッの家に久しぶりに帰った時、祖父母もHIVの事をよく理解してダーオをしっかり抱きしめた時の嬉しさ半分、とまどい半分の表情・・。「ここに泊ってゆく?」と聞いた時、ものすごい勢いで首を横に振り、その後も「一緒にバーンロムサイに帰ろうね」と繰り返していたダーオ。添い寝をしたその晩、しがみついて離れなかった小さな体の感触は今でも残っています。
はじめてのプール
幼稚園に入園
こういうダーオの顔が大好きです
美しくなりました。感無量・・
「人を綺麗にしてあげたい」と将来の夢を語ったミウと。ミウの言葉も嬉しい出来ごとのひとつでした
先日のクリスマス会でのタイ古典舞踏
2012年、今年も色々な嬉しい事、悲しい事がありました。
そしてダーオの絵本を読んであげている姿を見て感じるようなほんのささやかな、小さな「嬉しい事」が積み重なって、バーンロムサイの子どもたち、そこに働くスタッフやその家族、ナンプレー村の人々、チェンマイの、タイの、日本の、世界の人たちに「悲しいこと」よりも「嬉しいこと」の方が多い、そんな2013年になって欲しいと思います。
皆さま、今年も本当にありがとうございました。
おかげさまで、バーンロムサイの子どもたちも元気に2012年を終えることが出来ました。
来年もよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
麻生 賀津子 | 2012/12/31(月)
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