白熱のベートン大会と「差別」乗り越えた10年
ここ数日急に気温がグッと上がり「暑季」の到来を感じるチェンマイ。お日様の光がキラキラと輝く日曜日の今日、バーンロムサイの図書館前前にて、村の子ども達も参加する「白熱のペートン大会」が開催されました!
ぺ…ペートン!?な…なにそれ!?
試合を覗きに行ってみると、皆真剣な表情で、、、「鉄球」を投げている模様。。見た目は非常に地味、、、1球投げるたびに「オー」とか「アー」とか歓声が上がるのですが、、一向にルールが分からない。。このスポーツは一体、、、と「?」がたくさん出て来たところで、保父のベンさんがルールを説明してくれました。
金属製のボールを投げ合う「ペートン」
赤の目標球に近づけたチームが勝ち!
タイ語で「ペートン」と呼ばれているこのスポーツの正式名称は「ペタンク」。フランス発祥の球技で、コートに描いたサークルを基点として、赤い目標球に金属製のボールを投げ合って、相手より近づけることで得点を競うスポーツなのだそう。現在のタイの王様(ラーマ9世)のお母様がフランスに行った際にタイに持ち帰り、それ以来、国民に愛されるスポーツになったのだとか。
チームが目指すは1等賞!
大人も子どもも夢中!
ルールを理解して観戦すると、それがなかなか面白く、私もつい夢中になって応援してしまいました。決勝戦が近づくたびに「もっとこっちに投げろ!」「やったー!」と大きくなる歓声!汗だくになってスポーツを楽しむ子ども達の表情が、また、たまらなく可愛い!!
アーパイ選手の投球にみな笑顔
ダーオ選手の華麗なる一球
ベン選手「それ行け!!」
審判に指示を出すスーワイ選手
「そこだ、そこに投げろ!」と外野席
3位決定!やったね!!
そして、今回の「ペートン大会」には、30名ほどの村の子ども達も参加していました。村の子とバーンロムサイの子が当たり前にチームを組み、一緒にアイスを食べ、笑い合っている。今となっては「当たり前」の光景の1つとなった風景ですが、私が初めてバーンロムサイを訪問した9年前には絶対にあり得ないことでした。
村の子とお喋り。ボーイ。
村の子とバーンロムサイの子がチームを組む
バーンロムサイの子ども達は、HIVに母子感染しているという理由で、地域の村から激しい差別を受けてきました。父兄の反対に遭い、村の小学校から退学を余儀なくされた他、看板を割られるなどの嫌がらせも続き、地域の大人達はバーンロムサイの敷地に決して足を踏み入れないよう、子ども達を厳しくしつけていました。
変化が訪れたのは、2005年に立ち上げたサッカープロジェクトから。その後も多くの地域振興のプロジェクトを通じて、少しずつ少しずつ地域社会の大きな「壁」が崩れていきました。地域に、そして何より友達同士で受け入れ合った子ども達の笑顔を見て、実体のない恐怖からくる「差別」も、顔を見て、心を通い合わせる「実体験」を通じて、互いに乗り越えていくことが出来るのだと実感する事が出来ました。
差別を乗り越えたこれまでの10年。これから先の10年は、バーンロムサイが村の地域振興の「中心地」として役割を果たすとともに、ますます多くの「実体験」を子ども達に積み重ねてもらえたら、、、その「実体験」から自然と多くの事を学んでもらえたら、、、と思っています。
この10年の確かな「歩み」を感じた、気持ちのいい日曜日。
スポーツで汗を流した子ども達のお昼ご飯は、鶏のレバー入りのトムカーガイ!頼れる年上の女の子チーム(ゴイ、メーレック、プロイ、スーワイ)が配膳係です。保父のベンさんに「碧も手伝いなさい!」と言われ、慌てて手伝いに行ったのですが、さすが頼れる女の子チーム。私が手伝う隙など無く、ゴイに「メー碧は”笑顔”を手伝って!(イム・チューアイ)」などと言われてしまう始末。小さい子ども達をあやす「メー(お母さん)っぷり」も、チャキチャキとご飯を配る「メー(お母さん)っぷり」も、もうすっかり子ども達にはかないません!
谷岡碧 | 2013/02/17(日)
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