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「なぜひとはとどまっていられないのだろう」

人間以外の生き物は「今までの、そして今の状況をなるべく長く維持する努力」が「生きること」の基本。人間は違います。今より先に進みたがる習性を持っています。「進化と発展」特に19世紀末からの「先進国」の合言葉のようです。

この15年チェンマイで暮らし、この町とその周辺の急激な変化を目のあたりにしてつくづく感じました。「なぜひとはとどまっていられないのだろう」

今週初め2週間の予定でバーンロムサイのものつくりを体験するためネパールからソナムさんがやってきました。彼女の故郷はネパールの北西、中国の国境からわずか4キロの所にあります。周りを5000メートル級の山々に囲まれた海抜4500メートルに位置したその村の人口は900人ほど。彼らの暮らしは百年前とほぼ変わらぬ姿をとどめているようです。6月、7月、見渡す限りの草原に花々が咲き誇り緑あふれる楽園になります、しかしそれ以外の10か月の景色は茶色か真っ白。大麦とジャガイモ以外は育たず野菜も短い夏の間に生える野生のニラが少々、果物も実らず、羊とヤクの放牧が生活の中心との事。そして衣類は素材もヤクか羊の毛、それを織り、仕立ているようです。

カトマンズから何回もバスを乗り継ぎ、バスを降りてから彼女の村にたどり着くには途中洞窟などに野営しながら、徒歩で1週間ほどかかるそうです。10月から半年間村は雪に覆われ生活するのが難しく、下りて来られる人たちはカトマンズに下り現金を得るため日雇い仕事をしているそうです。一昔前までは100%に近い自給自足と物々交換で成り立っていたその暮らしは、中国から物資が入り出した頃から現金が必要となる生活に少しずつ様変わりしたようです。そして親の気持ちとしては自分が受けることが出来なかった「学校教育」を何としても子どもたちに受けさせたい、そしてそれには「お金」がかかる、だから「現金収入」が必要。

冬季カトマンズで過ごす半年の間、女性たちが洗濯や掃除と言った日雇いの仕事ではなく、それぞれが何か手仕事の技術を身につけ、現地で手に入る素材で質の良い商品を製作し販売出来ればよいのではないか、とこの村を支援している日本にある「ドルポ基金」の支援を受けソナムさんがものつくりの体験をしに来てくれたのです。ソナムさんには村に戻り現地で手に入る材料でのものつくりを女性たちが収入を得る一つの手段にしたと言う夢があります。

聞けば、ヤクや羊の毛がある、織りの技術もある、ならばそれらを生かしデザイン力を加えれば製品となるものが何か作れるのではないか、「伝統的な素材と技術」を生かしながら販売できる製品としてゆくことも可能なのではないか、とは思うのですがその難しさも痛感しています。

ここナンプレー村もすっかり様変わりしてしまいました。昔ながらのチークの家々は姿をけし新興住宅が立ち並び、家々の門先に置かれていた道行く人々のための素焼きの水瓶はなくなり、とって変わったペットボトルがあらゆるところに捨てられ、バナナの皮での包装が自然に還らないビニール袋にとって代わり、静かに流れる楽器と歌声が大音響のカラオケに様変わり。サロンを巻いた女性の数も少なくなり、竹筒に入れ売られていた飲み物もプラスチックカップが幅を利かせ、、、多くの伝統がこの短い間に消えてゆくのを目のあたりにしました。

経済優先でないがしろにされてきた「伝統と文化」に日本でもまたタイでも若い人たちが「どうにかしなくては」と気づきはじめたのも嬉しい事実。いつの日かチェンマイでは手に入れることのできないヤクの毛糸で何かコラボ商品が出来るのではないかとバーンロムサイの夢は広がります。それぞれの「伝統と文化」を大切にしたいと気づき始めた次世代が少しずつその夢をかなえてくれるでしょう。
「パンヤの綿毛が雨に濡れています。
パンヤはポリエステル綿に取って代わられ、今では使う人がほとんどいなくなりました。」

名取 美和 | 2013/03/01(金)

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