「HAND」をご存知ですか? HIV/AIDSのいま
日々バーンロムサイの子ども達と接していると、HIV/AIDSのことについては「ある程度理解している」とつい勘違いしてしまいがちです。最近タイと日本のHIV/AIDSの現状について調べる機会があり、1981年の初めての症例報告以来、その30年以上の歴史の中で大きな転換期を何度か経ながら、HIV/AIDSは今、新たなフェーズに入りつつあることを実感しました。
HIV/AIDSにかける政府の予算が大幅に縮小され、マスメディアにも取り上げられなくなった今、HIV/AIDSは、どこか遠い話、昔の話だと感じている方々が多いかもしれません。実際日本では、新たにHIVの感染が発覚した方々の多くが「まさか自分が…」「HIVって今もあるんですね…」と答えるそうです。
日本では2012年の調査で、HIV感染者、AIDS患者の累計がついに2万人を越えたことが分かりました。2011年までは「先進国の中で唯一AIDS患者が増え続けている国」とも言われ、HIV感染に気付かず、AIDSを発症する患者が年間400人以上のペースで増え続けていました。2008年をピークにHIV感染者数も緩やかな改善傾向が見られるものの、新規のHIV感染者が1002人、新たにAIDSを発症した患者が447人と、依然高い水準が続いています。
そして最近になって、HIV/AIDSをめぐる新たな問題も浮上しています。HIV感染者、AIDS患者の間で、注意力や記憶力が衰える「認知障害」の頻度が増え始めているのです。海外では2000年頃から感染者の認知障害に関心が集まっていましたが、現在では軽症も含む認知障害を広く「HIV関連神経認知障害(HAND)」と呼んで、実態の把握を目指す研究が始まっています。HIV感染者の言語能力や、注意力、情報処理の速さなどを検査した結果、かなりの頻度で異常が見つかることが分かってきているそうです。
10代、20代のバーンロムサイの子ども達には、まだまだ「先の話」と思われがちですが、実はバーンロムサイにも軽度、または中度の知的障害が認められる子ども達がいて、彼らにもこの「HAND」の症状が出ている可能性が指摘されています。
子ども達に知的障害の症状が出ている理由について、当初は「抗HIV薬」の副作用が心配されていました。しかし最近の研究では、HIVウィルスが脳内に回り、脳細胞に影響を与える事が原因ではないか、との見方も出てきています。日本では「脳内に届きやすいタイプ」の抗HIV薬を服用したところ、症状が緩和されたという症例もあるそうですが、現在のところ適切な治療法は確立されていません。
「HAND」は長期にわたってHIVウィルスに感染している人に現れる症状と言われていますが、バーンロムサイの子ども達は産まれた時からHIVに母子感染しています。彼らが早期に(例えば働き盛りの30代や40代に)「HAND」の症状が出てしまうと、彼らの将来の選択肢を狭めることにもなりかねませんし、既に症状が出ている子ども達への対応も含めて、心配事は尽きません。現在「HAND」は世界的にも様々な研究が進んでいるそうですが、子ども達の長期フォローと先進医療とが結びつけられる体制を構築出来れば、と強く感じています。
日本でもタイでも「死病」ではなくなったHIV/AIDSに対する危機意識が薄れている事が社会問題の1つとなっています。安易な自己判断で病気を楽観視し、治療を辞めてしまこともあるそうです。しかしHIV/AIDSの現状を鑑みれば、治療の中断は将来の治療の選択肢を狭めるだけでなく、血中のウィルス量が増えることで「HAND」などの症状を進めてしまうことになりかねません。一度治療を始めたら、たとえ大変でも、必ず薬を飲み続けること。バーンロムサイの子ども達には、その理由も含めて、しっかりと伝えていかなければ、と感じています。
子ども達の抗HIV薬
*********************************
hoshihana villageにてランチ営業が始まりました!
タイヤイ族の家庭料理を中心とした、ここでしか味わえない特別な料理をhoshihana villageの心地よい空間で味わってみてはいかがでしょうか。
【レストラン営業時間】
金・土・日・月
12:00~15:00(L.O.14:00)
【連絡先】0-5302-2226
席数に限りがございますので、メニューと人数をご予約下さるとスムーズです。
http://www.hoshihana-village.com/news/?page_id=18*********************************
京都府/京都 高島屋 京都店にて「バーンロムサイ展」が開催されます!
10月2日(水)より10月8日(火)まで、高島屋 京都店(京都 タカシマヤ)6階、インテリアアクセサリー売場にて「バーンロムサイ展」が開催されます。
京都 タカシマヤで初めて開催される企画展では、バーンロムサイ定番のタイパンツなどのボトムス各種、山岳民族の刺繍古布を使った雑貨アイテムやさき織り商品、好評いただいているちぢみガーゼブランケットをはじめ、チェンマイの工房から到着したばかりの草木染めちぢみガーゼトップスなどを取り揃え、京都の皆さまのお越しをお待ちしております。お誘い合わせのうえ、お気に入りを見つけにぜひいらしてください。
■高島屋 京都店(京都 タカシマヤ)
「バーンロムサイ展」
期間:10月2日(水)〜 10月8日(火)
営業時間:10:00 〜 20:00(※最終日は18:00まで)
場所:〒600-8520 京都府京都市下京区四条通河原町西入真町52番地
京都 タカシマヤ 6階 インテリアアクセサリー売場
tel. 075-221-8811
website:
http://www.takashimaya.co.jp/kyoto/Facebook: www.facebook.com/takashimaya.kyoto
谷岡 碧 | 2013/10/03(木)
前の写真日記:「こんにちは」「さようなら」サワディーカー次の写真日記:バーンロムサイでの一日写真日記一覧へ戻る