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タンのチェンライ土産

バーンロムサイではお昼になると、子ども達もスタッフも同じ食堂に集まって食事をとります。今日のメニューはクイッティオ(タイの米粉麺)。料理担当のプロイさんが作ってくれる昼食は、どれもおいしい!と評判です。楽しい食事を終えて、デザートのみかんも食べ終えた頃、平日は大工チームで働くタンがそろそろと近づいて来て、一言。「お皿洗いましょうか?」。日本人スタッフは皆にっこり。「じゃあお願いします」とお皿洗いをお願いしました。

タンの「お皿洗いましょうか?」は今日に始まったことではなく、ここ数ヶ月ずっとタ習慣のように続けてくれていることです。少々悪さが過ぎることもあるタンですが、こうしてしっかりお手伝いしすることで、「いいところ」を見せようと必死に努力しているようです。いろいろ事情は分かっていても、その健気な姿はなんとも愛おしく、、つい毎回「じゃあお願いね!ありがとう」と頼んでしまいます。

大工チームで働くタン

わたしが初めてホームを訪れた時、タンはまだ7歳でした。今でも忘れられないのは、ソンクラーン(水かけ祭り)での出来事。車の荷台に乗って走っていたわたしたちに向かって、対向車がバケツに入れた水をもの凄い勢いでかけてきたのです。車はスピードを上げて走っていましたから、水の勢いは相当なもの。その「バケツ水攻撃」を顔面でモロに受けてしまったのが、、タンでした。

バッシャーーーーーーン!!!もの凄い形相のタン!!相当痛かったはず。

最初はとっても心配しましたが、タンがすぐにマイク・タイソンのようないつもの笑顔で笑うので、、私たちもついつい心がほぐれて、一緒になって大笑いしてしまいました。顔を歪ませて笑う、タンの顔、今も忘れられません。彼の愛嬌は天性のものだし、どんなに手が焼けても「仕方ないかっ」と思わせる愛らしさを備えているのです。

そしてつい先日の出来事。チェンライでの1週間のキャンプを終えて帰って来た男の子達。みなグッタリとした表情で自分の部屋へと戻る中、タンは1人何かを持ってオフィスへとやって来ました。オフィスにはわたし1人しかいなかったので「どうしたの?」と尋ねると、「チェンライでお土産を買ってきました。」と、お菓子を手渡してくれたのです。「これタンが買ったの?」「うん。オフィスのみんなで食べてください」「嬉しいな!本当にありがとう。」わたしがそう言うと、タンはいつものマイク・タイソンの様な笑顔を浮かべてオフィスを後にしました。

お菓子には25バーツ(約75円)と書かれた値札が付けられたままだったけど、それも含めて、こんなに嬉しいお土産は初めてでした。子どもからもらう初めてのお土産。ほんのり甘いお米のお菓子は、とってもおいしかったです。

間もなく16歳。体つきもがっしりと逞しく成長しています。彼の優しい心も、そのまま素直に育ててほしい。優しさも、気遣いも、すっかり板についてきたタンを見ながら、今はそう願っています。

谷岡 碧 | 2013/10/23(水)

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