ビー
わたしがバーンロムサイにやってきた当時、朝6時前に、必ず一度目が覚めてしまっていました。
原因は、ビーの叫び声。「アーーーーーッム!!!!!」と叫ぶ彼の声が原因です。
私の家は、子どもたちの家と50mほどしか離れていません。テレビを見ているな、ダンスの練習をしているなと、みんなの状況がわかる距離です。
そこにきて毎朝の叫び声!最初のビーの印象は声から始まったのです。
今回は、ビーの日常について
11月末にバーンロムサイに来た頃、子どもたちはまだ私の存在に慣れていませんでした。すぐに遊ぼうと誘いに来る子、興味はあるかれど遠くで見ている子、引っ込み思案な子、30人いるのですから反応も様々です。
ビーは、わたしに会うと、必ず、手を合わせて挨拶をしてくれました。少し離れたところにいても、とても丁寧に。それは7ヶ月経った今でも変わりません。
細めの体格ですが、もの凄く運動神経のいいビー。
バトミントン大会、サッカーでの活躍ぶりは目を見張るものがあります。
たまに、変な刈り上げなビー。だれにされたの?
サングラスをかけておどけるビー。
いつもは大人ぶっているのに、たまに見せる笑顔がかわいいビー。
ある晩、わたしの家にトゥッケー(おおきなトカゲ?全長30−40cmほど)が入ってきました。みつけたのは枯れ葉拾いをしていたオンとボーイとベン。「大変だ!中にいる!」と、ちょっとした騒ぎ。
私が手伝ってよといっても、ふたりは「いやあーー。。。」と言ったまま。煮え切らないので、ベンにタンを連れてきてというと、シャワーにはいってて無理!とのこと。家に入るのが怖くてどうしようと困っていると、そのときに走ってやってきたのはビー!
慣れない手つきで、ゴム手袋を履いて、懐中電灯と携えトゥッケー捜索をしてくれましたが、逃げられる一方。困った顔でうちのタンスの上に座るビー。結局、シャワーを終えて駆けつけたタンが加わり、賑やかしに入ってきたベンと三人でトゥッケーを追いつめ、最後はタンの手によって無事に保護され、野に返されました。
でも、「俺がやる!」と、いの一番に駆けつけてくれたビーの男気には感心。
翌日、ありがとう、と、タンとビーとベン(おまけ)に改めてお礼を言い、ちょっとだけお菓子をプレゼントしました。ビーは「べつに、当たり前のことをしただけだ」といわんばかりの素っ気ない態度、お菓子にもあまり目をくれません。(その頃、ベンは横で口一杯にお菓子をほおばっています!)
でも、頑張ったのを褒めてもらったからか、顔はちょっと嬉しそう。
ドアから中をのぞく三人。なんと、なかではホラー映画の鑑賞中。
こわいのもあって、ドアを開けて観るでもなく、隙間から見ているくせにたまに目をそらす。
怖いもの見たさとはこのことですね。
私がいることに気がつくと、「観てみてよ!」と勧められました。ちょっと怖かった。
キッチンでたまに子どもたちと一緒にお菓子を作ります。パンケーキを作ったときに、いち早くお手伝いにきてくれたのはビー。
「僕に焼かせて欲しい」と、張り切って挑戦です。
バナナを巻けるように薄めに作った生地は、クレープのようでテクニックが必要です。
何回も失敗しながら諦めずに挑戦。1回目はなんとか形になる程度で、ほとんど大人が手伝っていました。
その後、しばらくすると、「パンケーキを作りたい!」との要望が。ほかの子は「食べたい」だけど、「作りたい」と言ってきたのはビーが初めて。それならばとまたパンケーキ作りを開催しました。その度に、「俺が作る!俺が焼く!」と、ボールや泡立て器やフライ返しを用意し、粉に卵や牛乳を加えるところから、焼くところまで少しずつ進歩して頑張っています。ちょっと雑なのが玉に傷ですが、そこはご愛嬌。やる気が大切です!
エプロン姿もいいですよね。
いまは、アームもバーンロムサイを離れ、朝から心配する弟分が居なくなったからか、わたしの眠りが深すぎるのか、ビーの叫び声は聞こえなくなり、なんとなく淋しい毎日です。
ぶっきらぼうで負けず嫌いでだけど、心優しく一生懸命でかわいらしく笑う、そんなビーが大好きです。
松井聡美 | 2014/08/05(火)
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