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バーンロムサイの公共プロジェクト

今日は、バーンロムサイの公共プロジェクトについてご紹介させていただきたいと思います。

HIVに母子感染した孤児たちの生活施設として1999年、タイ北部チェンマイ郊外ナンプレー村に設立されたバーンロムサイ。単なる孤児院ではなく「大きな家族」という方針のもと、1歳半から18歳までの30人の子どもが暮らしています。

開設から3年の間に、10人の子どもがエイズを発症し亡くなりましたが、その後はエイズの発症を抑える薬により、子どもたちが命を落とすことはなくなりました。医療技術の発達により、HIVの母子感染が防げるようになった現在、バーンロムサイではHIVに母子感染した子どもたちの他に、さまざまな理由で親と生活できない子どもたちを受け入れ共に暮らしています。

開園当初は、HIVに関する正しい知識を持つ人が少なく、村でも差別を受けました。看板を壊されたり、小学校を退学させられたりするなどつらい出来事もありましたが、スタッフの地道な努力により、だんだんと村の一員として受け入れられるようになりました。

その中でも、大きな役割を果たしたのが「公共プロジェクト」です。

公共プロジェクトとは、バーンロムサイとナムプレー村の子どもたちが一緒に参加できるさまざまな活動のことです。

バーンロムサイでは、みんなが心地よくつながり、それが自然に広がってゆく仕組みづくりを意識する中で、地域への貢献を大切にしてきました。図書館プロジェクトや青少年サッカープロジェクトなど、子どもたちにとって魅力的で、心身を鍛えることのできるさまざまなプロジェクトがあります。

今では村の人たちと良好な関係を築き、バーンロムサイに子どもが行っていれば安心だと言ってもらえるまでになりました。これらの地道な活動が、社会から偏見や差別をなくし、「誰もが住みやすい社会」をつくるための第一歩だと信じ、今後も将来につながる活動を大切に積み重ねていきたいと思っています。

現在、以下の公共プロジェクトを行っています。

・図書館プロジェクト
・青少年サッカープロジェクト
・女子バレーボールプロジェクト
・青少年サッカー/女子バレーボール合宿
・コミュニティスポーツプロジェクト⇒2017年度で終了
・環境保護プロジェクト⇒2017年度で終了
・レスキュー訓練⇒2017年度で終了
・青少年プロジェクト
 -スカラシップ
 -山岳民族支援

それでは、各プロジェクトを写真と共にご紹介します。


【図書館プロジェクト】

寄付によって2007年に完成した図書館。平日午後4時から6時までバーンロムサイ、ナムプレー村の子どもたちに開放しており、会員登録した子どもたちは、自由に本を読んだり、DVDを観たり、パソコン、インターネットを使うことができます。

学校でパソコンを使う課題が出された時には、図書館のプリンター、紙なども無料で使えるので、子どもたちにとってはなくてはならない場所となっています。

放課後を思い思いに過ごす場所として、村の子どもたちにも親しまれています。開園当初、誰も足を踏み入れることのなかったバーンロムサイにこのような日がおとずれるとは、当時は考えらませんでした。

図書館では、毎月読書感想文コンクール、タイの重要な日塗り絵コンクールが開催され、優秀者には文房具などの賞品と奨励金が授与されるので、それも子どもたちのモチベーションとなっています。

図書館担当のスタッフが、村の子どもたちの生活状況を聞いたり、他のプロジェクトに参加したりする入り口としての役割も果たしています。
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10513
https://www.banromsai.jp/new_photo_diary/2009/11/post-223.html
https://www.banromsai.jp/new_photo_diary/2010/03/post-328.html
https://www.banromsai.jp/new_photo_diary/2011/02/post-651.html
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10681


【青少年サッカープロジェクト】

元プロサッカー選手で、現在バーンロムサイのスタッフであるダム監督率いるバーンロムサイとナンプレー村の子どもたちによる合同サッカーチーム。HIVに感染している子どもとしていない子どもが一緒にプレーするめずらしいサッカーチームです。

このサッカープロジェクトもバーンロムサイが村の一員としてとけ込んでいくのに大きな役割を果たしました。HIVに感染しているホームの子どもたちの体力、免疫力向上を目指して始められましたが、楽しそうな練習、次第に実力をつけていく様子を見た村の子どもたちが一緒にプレーしたいと参加するようになりました。

バーンロムサイの子どもと村の子どもたちが一緒にプレーし、同じペットボトルから水を飲む姿を見ると、スポーツの持つ力の偉大さを感じずにはいられません。

毎週土日の練習は、子どもたちにとって何よりの楽しみ。今では地域のトーナメントで優勝するほどの実力をつけています。

2017年7月には、バーンロムサイの子どもベンが「第5回 児童養護施設の子どもたちのためのサッカーワールドカップ(The 5th Football World Cup for Children from Care Homes)」のタイ代表選手に選ばれ、ポーランドで行われた試合に参加しました。今までにスポーツ奨学金を得て進学した子どももおり、スポーツにより子どもたちの未来は確実にひろがっています。
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10642


【女子バレーボールプロジェクト】

2016年に始まった女子バレーボールプロジェクト。バーンロムサイとナンプレー村の女子のためのバレーボールチーム。

タイでは、一般的に女の子が外に出てスポーツをする習慣はあまりなく、休みの日は家の手伝いを求められることも多いです。ロムサイFCで毎週末楽しく練習している男の子たちを横目にいつもお留守番だった女の子たちにも外に出て身体を動かす機会をということで支援者の方からの理解と寄付を得て始まりました。

普段、自由に外に遊びに行けないホームの子どもたちにとっては、毎週外に出てスポーツができることはそれだけでも嬉しいこと。コーチに教えてもらいながら、少しずつ技術も身につけています。また、スポーツマンシップ、協調性、忍耐力などを身に付け、精神面でも成長してほしいという願いもあります。時間はかかると思いますが、将来的にはスポーツ奨学金で進学できる子どもが出てくればと期待しています。
http://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10602
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10671


【青少年サッカー/女子バレーボール合宿】

青少年サッカーと女子バレーボールチームの合同合宿。学校の長期休暇(4月・10月)にチェンライ県で合宿を行っています。子どもたちは、合宿の数ヶ月前から指折り数えて楽しみにしています。

合宿では、強化練習、地元チームとの交流試合の他、お寺でのタンブン(積徳)や朝市での買い物、お茶畑観光など普段はできない楽しいイベントが盛りだくさん。学校以外で外の世界に触れる機会の少ない子どもたちにとって、良い社会勉強の機会となっています。
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10652
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10653
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10654


【コミュニティスポーツプロジェクト】

バーンロムサイとナムプレー村の子どもたちによるスポーツ大会。年に一度二種目(バドミントン、卓球、ペートンなど)のスポーツ大会を行っています。

くじ引きによりペアを決め、トーナメント方式で行われます。子どもたちにスポーツの楽しさを知ってもらうとともに、バーンロムサイと村の子どもたちが交流することが主な目的。大会前には、ホームの庭で練習をする子どもたちの楽しそうな声が響いています。
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10643
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10644


【環境保護プロジェクト】

バーンロムサイとナムプレー村の子どもたちによる清掃活動。お寺や公共施設のゴミ拾いを行う。環境保護に対する意識を高めるとともに、地域の人たちとの良好な関係を維持し、コミュニティの一員としての責任を果たすことも大きな目的です。麦わら帽子と軍手でゴミ拾いする姿はなかなか様になっています。


【レスキュー訓練】

年に一度、村の施設を利用し、指導員を招いて防災訓練を行っています。内容は、事故発生時の応急処置、水難救助訓練や消防訓練など。

事故が発生する原因、非常事態に遭遇した場合の対処方法について講義を受け、応急処置の仕方を学びます。さらに、火災現場を再現し、消火器を使った消火訓練、貯水池での水難救助訓練など本格的な実技訓練も行います。

ナンプレー村の子どもたちがこのような訓練を受ける機会はここでしかないので、保護者や村の職員からこれからも継続してほしいプロジェクトとして期待されています。
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10650


【青少年プロジェクト】
教育は、子どもにとってもっとも大切なものの一つですが、全ての子どもたちがその機会に恵まれているわけではありません。バーンロムサイでは、子どもたちが等しく教育を受けられる社会を目指し、チェンマイ県に住むバーンロムサイ以外の子どもたちに対しても、さまざまな面からの支援を行っています。

このプロジェクトは通称「ファー・サイ」と呼んでいます。ファーは「空」、サイは「澄んだ、くもりのない」という意味。このプロジェクトにより生活の質が向上し、子どもたちの上に青く美しい空が広がるようにという願いが込められています。

―青少年プロジェクト スカラシップ
バーンロムサイの卒園生で就学中の子どもの学費、生活費支援、バーンロムサイ以外のHIVの影響を受けている子どもの学費、生活費支援を行っています。


―青少年プロジェクト 山岳民族支援

交通の便も悪く、支援の手が届きにくい山岳地域に住む人々の支援を行っています。バーンロムサイ独自の活動と2015年から参加している他の団体と共同で行う物資支援があります。

バーンロムサイ独自の活動では、過去に清潔な水を手に入れるのが難しい地域に水質浄化装置を設置したり、放し飼いの家畜の被害に困っていた学校にフェンスを設置したりしました。

他の団体と共同で行う物資支援では、バーンロムサイの年長の子どもたち数人が実動部隊に参加して、支援物資を届けに行きます。雨が降ったら陸の孤島となってしまうような場所。2017年1月には、200キロの道のりを約20時間かけて目的の村に到着しました。

普段、支援してもらう立場の子どもたちが、このような厳しい生活環境に暮らす人々がいることを知り、支援する側を体験することで何かを感じてほしいという思いも込めています。
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10690
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10691
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10692
ご紹介しましたこれらのプロジェクトは、多くの支援者の方々のご理解とご協力により成り立っています。ありがたいことに、現在では日本だけでなく、タイでもたくさんの方たちがバーンロムサイのプロジェクトに興味を持ち、応援してくださっています。

これからも支援者のみなさまには、子どもたちの成長を一緒に見守っていただき、また、地域支援プロジェクトを継続していけるよう、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

<ご寄付について>
https://www.banromsai.jp/donation/

山下曜子 | 2018/03/08(木)

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