別れの夏
この夏休みは、いつもの夏休みにも増してたくさんのイベントがあり、子どもたちは楽しい時間を過ごせていると思いますが、そんななか寂しいお別れもありました。
昨年の今頃、ヌックニックもおばあさんたちと一緒に暮らすため、ホームを旅立っていきました。
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10723今年は、チョーク、チャイ、ノン兄弟とモーモー、サーサー姉妹がそれぞれ親戚に引き取られていきました。一気に5人の子どもがホームを去ることになり、ホームに残る子どもたちもスタッフも戸惑いを隠せませんでした。
チョーク、チャイ、ノンは、父親の姉である伯母に、モーモー、サーサーは母親の妹である叔母に引き取られました。
バーンロムサイの子どもたちはビエンピン国立孤児院の子どもをあずかっているというかたちでここにいるので、親戚に引き取られる場合は国立孤児院の方で引き取りを希望する親戚の審査があり、その審査に通れば子どもが引き取られていくことになります。
チョークチャイノンは5月2日に、モーモーサーサーは5月3日に親戚のもとへ行きました。5月1日には、ウェウ先生が5人を集めて話をしました。
事務所スタッフとコムさん、レックさん
チョークチャイノンは、自分たちがこれからどんなところに行くかなど、特に深く考えることもなかったようで、素直に喜んでいました。
一方、モーモーとサーサーは、全然知らない(覚えていない)おばさんのところに行くのが不安なのと、今まで暮らしてきた家を離れること、お母さんお父さん、お姉さんお兄さん弟妹たちと離れることが寂しくて辛くて、おばさんの家に行くことを告知した時から、ずっと「行きたくない」と泣いていました。
あくまでも陽気な三兄弟
無表情で虚ろなサーサー
5人とも、明日、あさってには親戚に家に行くということは既に理解していましたが、ウェウ先生から改めて話をしました。
それでも何とか笑顔を作っているサーサー
でも、ウェウ先生から声をかけられると、我慢できなくて…大人も涙をこらえるために、何も言えなくなりました。
そして、5月2日の朝。初めは1日の夜、国立孤児院で一晩過ごし、2日に親戚に会う予定だったのですが、寝る場所がないからと突然言われ(ないことないと思うのですが…)、2日早朝に出発することになったのです。
いつもと変わらない朝
3人だけ散髪してもらっていました。
コムさんは、あまり感情を見せませんが、どんな気持ちで散髪してあげたのでしょう。
全財産はこの箱の中
3人を見送るためにみんな出てきました。
バーンロムサイで過ごした日々の写真をまとめたアルバムを渡したら、喜んでくれました。
最後まで面倒を見てくれるお兄ちゃんたち
男子集合写真
みんなと握手
わいわいしているうちに、お別れの時間。女の子たちはギリギリまで下りて来ず、あっという間に出発しました。ほろりとする暇もなく、あっけないお別れ。でも、これぐらいの方が子どものためにはいいのかなという気がします。
モーモーとサーサーも初めは1日と言われていたのですが、ずるずると延びて3日になりました。
この写真は2日の朝
2日に行くつもりで身支度を整えていた2人。この後、普段着に着替えていました。毎日「今日行く」という緊張感と「え?また行かなくなったの?」という気持ちを繰り返すのもかわいそうでした。
いよいよ5月3日の朝。
朝はいつも通りお手伝い
「何かあったら必ずバーンロムサイに
連絡しなさい」
アルバム2人も喜んでくれました。
この日はサーサーの10歳の誕生日。
荷物をしてあげるのはいつもベン
ペンに抱き上げられるモーモー。
ジンダーは後ろで涙をこらえている。
メー美和と最後のお別れ
みんなに見守られながら…
前日のチョークチャイノンとのあっさりしたお別れとは違い、みんなが名残惜しい気持ちで、でも言葉ではうまく表現できず、ただただモーモーとサーサーを見守っていました。
お姉ちゃんたち、保母さんたちも目頭を
押さえていました。
レックさんは、出勤日ではありませんでしたが、2人を見送りに。これまで何人の子どもたちを見送ってきたことでしょう。
コムさんに、チョークチャイノンがいなくなった後の男の子たちの様子を聞いてみましたが、みんな普通とのことでした。やはり、男の子、女の子では感じ方もだいぶ違うのでしょう。女の子たちは、夜になっても泣いている子もいたそうです。
送っていったベンさんによると、サーサーはホームを出てすぐに寝たそうですが、モーモーは道中ずっと泣いていたそうです。駅で会ったおばさんたちの写真も見せてもらいましたが、一緒に住むおばさんは身なりも雰囲気も美しく人柄の良さが表情にも表れているような方でした。
チョークチャイノンが親戚の家に到着した写真も見せてもらいましたが、大勢の人が集まっていて、歓迎されている様子が伝わってきました。
2組とも、これまでとはまったく違う生活環境で暮らすことになるわけですが、家族の温かさにつつまれて、幸せに暮らしてほしい、ただそれだけを願います。
山下曜子 | 2019/05/07(火)
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