紹介用映像2013年版完成！

今から9年前。短期のボランティアとしてホームに来たわたしの最初の仕事は、チャリティベアーの刺繍と、落ち葉掃きと、ぶーちゃん（ペットの豚ちゃん）の餌やりでした。不器用なわたしが10日間かけて縫った3体のクマは全てクオリティチェックに引っ掛かってしまい、、暑さにも弱いので落ち葉もロクに掃けず、、ぶーちゃんは怖いし、、と踏んだり蹴ったりの日々。まったくもって役立たずの「ボランティア」だったのですが、当時バーンロムサイの紹介用映像を撮るためにホームに来ていた谷岡功一と知り合い「何かお手伝いさせてください」と声をかけたことが、わたしとバーンロムサイの絆を深めてくれる大切なきっかけとなりました。

当時大学生で、映像についてはまったくの素人でしたが、無鉄砲にも「ナレーターやらせて下さい！」と志願し、電話口でのオーディション（？）にも挑戦。お世辞にも「上手」とは言えない出来映えだったと思うのですが、熱意を買ってもらい、1作目のナレーターを担当させてもらうことになりました。バンコクのスタジオでカチコチになりながら収録した初めてのナレーション。今となっては良い思い出の1つです。

以来、翌年からは1年に1回バーンロムサイを訪問し、紹介用の映像の作成に参加させてもらうようになりました。監督の谷岡功一、音楽担当の並木大典とわたしの3人のチーム。子ども達の何気ない笑顔や、チェンマイの緑、バーンロムサイの空気やコムロイが輝く夜空。この場所に来て感じるそれぞれの想いが「映像」になり「音楽」になり「言葉」になり、作品が呼吸する。1つの作品が出来上がっていく熱量はわたしの心を揺さぶりましたし、はじめて「子ども達のために少しは貢献できたかもしれない」と感じることが出来るようになりました。以来、バーンロムサイの映像制作はわたしたちにとって、大切なライフワークの1つです。

そしてつい先日。2013年度版の紹介用映像がようやく完成しました。今年の大きなテーマはバーンロムサイが目標とする「自然でポジティブな支援の在り方」をしっかりと伝えること。いつかは「子ども達の職場にしたい！」と考えていたhoshihana villageで、スーワイとプロイが働き始めた事はバーンロムサイらしいポジティブな変化と考えて、彼女達にもインタビューをお願いしました。

インタビューの直前にプロイが他の女の子と口論になってしまい、なかなか泣き止まず、、これは撮影中止か？と一瞬ひやっとしたのですが、いざカメラを回すとプロイは「16歳になりました。わたしがここで働いているのは、自分自身の経験を培うためです」と、しっかりと答えてくれました。スーワイも「この場所で先輩と出会い、仕事とは何かを学ぶ事が出来ました」と笑顔で回答。まだまだ泣き虫で、仕事の面でも覚えなければいけないことがたくさんある2人ですが、それぞれの経験について、自分自身の言葉で語っている姿を見て、少し安心しました。

もちろんいつの日か、彼女達には外の世界も見てほしい。だからこそ、もっともっと逞しく。hoshihanaでの「仕事」という経験を生かして、プロとは何か？を学び、それぞれの道をしっかりと歩んでほしいと願っています。

「タイ北部・チェンマイ。のどかな風景が広がるナンプレー村にHIVに母子感染した子ども達が暮らす施設があります」

この台詞から始まるバーンロムサイのナレーションは、もうすっかりわたしの身体に馴染んでいて、冒頭から3分くらいは、たいてい目をつぶってナレーションを読んでいます。目をつぶって、子ども達の笑顔や、バーンロムサイの緑や、空の色を思い出しながら、声を出すようにしています。今年も尊い仕事に関わる事が出来てとても嬉しく思います。ぜひ多くの方々にバーンロムサイの「今」が届きますように！