秋休み 縫製場でのアルバイト
夏休み、秋休みには年長の子どもたちが職業訓練の意味も込めて、ホシハナヴィレッジや縫製場でアルバイトをやらせてもらっています。
夏休みは日本でいうところの春休みと同じ位置づけで、この休みを挟んで学年が上がります。こちらの秋休みは、日本の夏休みと同じです。タイは、2学期制なので、秋休みが前期と後期の間の休みです。
今回の秋休みは、高校生のジンダー、ニサー、中学生のアーパーイ、ネンがアルバイトを希望していたのですが、高校生の方が後期が始まるのが早く、やりたいと言ってくるのも遅かったので、ジンダーとニサーは今回は断念しました。
「明日からやりたいけど、いいー?」と軽ーいノリで聞いてくるので、「いやいや、だめでしょ」とこちらがびっくり。そういうこともちゃんと教えてあげなければなりません。ジンダーとニサーは、それを自分でも言ってこず、アーパーイに伝言して伝えてきました。
「友達に頼んでアルバイトの応募できるところなんかないし、明日からやりたいとか急にできるものでもない!」ということは伝えました。どこまで伝わったか分かりませんが…。
次回からは募集を貼り出し、指定の期間内に応募、形式的にでも面接を行い、採用の合否を知らせるなど、一般的な手順を踏んでアルバイトをするようにしようかと他の日本人スタッフと話し合っています。
そんなこんなで、今回はアーパーイとネンが縫製場でアルバイトをすることになりました。
アーパーイは、前回と同じ縫製場でのアルバイト。ネンも、過去にオーガニックファームでアルバイトをしたことがありますが、今回久々のアルバイトです。
*2016年夏休みオーガニックファームでのアルバイト
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10594(この時と比べたら、ネンはすごくお姉さんになりました。)
前回の夏休みから採用した、同じ日/同じ時間帯に複数人行かせない(一人で行く)というスタイル。
*2019年夏休みのアルバイトの様子
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10790今回もそのやり方で、アーパーイが午前中、ネンが午後に行くことになりました。
ネンは久しぶりなので、大丈夫かなーと思い「仕事を始める前に、タイムカードを押さないといけないけど、それは何時に行けばいいと思う?」と聞いてみました。
仕事開始が13時なので、12時45分、50分ぐらいという答えを期待して聞きました。ネンも、私が「少し前に行って準備しないとだめだよ」と答えるのを期待していることぐらいは分かっていて、ちょっと悩んだ後「・・・12時半!」と元気よく答えてくれました。えらい!でも、それは早過ぎ!!!休憩している他の人がびっくりしちゃうよー、と。そのへんの加減はまだ分かっていないようです(^_^;)
さて、前置きが長くなりましたが、2人のアルバイトの様子をご覧ください。
手仕事チームに入って作業するアーパーイ
集中しています
アーパーイは、もともと編み物も得意で、ものを作るのが好き。前回も、縫製場の日本人スタッフさとみさんのはからいでいろいろな仕事を体験させてもらいました。今回も、それに積み上げるかたちで新しい仕事も教えてあげたいということで、バーンロムサイくま(くまのぬいぐるみのストラップ)のかぎ針編みのお洋服を作るのに挑戦しました。
結果は、、、ぱっと見、上手にできていましたが、左右非対称であったり、最後の方、力技で歪んでしまっていたり、、、と細かいところまでの心配りはまだ足りないようでしたが、それでも集中して作業に取り組み、販売できるものもあるとのことでした。
他に、前回と同じ猫クッションの綿詰めもやりました。
簡単に見える作業が簡単とは限らない。
さとみさんにチェックしてもらう。
縫製場の2階で作業中のネン
顔が近いーーー
一方、午後のネンは、、、
初めは、紙を切る作業をさとみさんの目の前に座ってやっていました。
頑張って、丁寧にやろうとするのはいいのですが、「いい?これで大丈夫?」ときょんきょんして集中力がないので、そこを強化するようにさとみさんが指導してくれました。集中して仕事をするというのは、2人ともに共通の課題でした。
「何分/何時間以内に、これをいくつする」という目標を持たせることで、集中力はだいぶ強化されたようです。
上の写真は、キットさんが織ったさき織り6枚を縫い合わせて大きなマットを作るのに、ミシンで本縫いをする前のしつけ縫いをしているところです。
一生懸命やっているのが写真からも伝わると思いますが、それにしても近過ぎ!?
とにかく、アルバイトができることが楽しくて楽しくて仕方なかったようで、帰って来た時に「どうだった?」と聞くと「楽しかった!!!」といつも興奮した様子で答えてくれました。
前回は、アーパーイだけだったので、他の子と比べてのその子の個性というのは分かりにくかったですが、今回アーパーイとネンが行って、好対照の2人の様子がうかがえました。
さとみさんに聞いたところによると、アーパーイは、一人で静かに作業に集中するタイプ。作業が終わった後の報告などもできますが、ちょっと遠慮しているところがあるのか、ぱっぱと次のことに移る感じではない。
ネンは、やる気満々!ちょっとぐらい失敗しても落ち込まない!当たって砕けろの猪突猛進タイプ。一つの作業が終わったら、「終わりましたっっっ!次何したらいいですかっっっ!」とかぶりついていくタイプ。
縫製場のリーダー、シーさんにはネンタイプが合っているようで(シーさんも「教えてあげるから、何でも聞きなさいっ!」という熱血タイプ)、「ネンは、やる気があっていいわね」と褒めていたそうです。
実は、アーパーイもホームに帰ってから「今日はくまの服作ったよ。楽しかった」と私には話していて、それも心から楽しんでいる様子だったので、やる気はありますが、それを表情や言葉、態度で表すことはあまりないようで、自分の感情をもっと上手に表現できたら良いかもね、ということでした。
以前の写真日記にも書いたことがありますが、アーパーイはタイ人ではないため、タイ人が持っているIDカードを持っていません。その代わり、タイに居住する外国人が持つカード(通称ピンクカード)を持っています。何ももっていないよりはましですが、これから進学や就職をする時、タイ人と同じ権利がありません(今の法律では)。
*バンコクに行けなかったアーパーイの話
https://www.banromsai.jp/photo_diary/?page_id=10788アーパーイが、ここの仕事が好きで、将来ここで働くのもいいなと思ってくれたら、、、と大人たちは考えています。もし思わなくても、そうせざるを得ない状況になるならば、少しでも自分の意志で選んで、好きでやっているという方が本人にとっても幸せだと思うからです。
将来のことは分かりませんが、メー美和もアーパーイについてはそこの部分を特に心配しています。
また、ホームでもう一人タイ人でないのは、メーです。
メーはタイヤイ人で、彼女もピンクカードを持っています(今年取れたばかりです)。メーはまだ小学3年生ですが、アーパーイと同じ理由で早くからここの仕事に興味を持ってほしいということで、メーだけ連れて、お姉ちゃんの職場見学に行きました。
すごい貫禄・・・
興味津々
最初縫製場の1階を見た時、ささーっと通り過ぎるぐらいで、あまり見ていなかったので、そんなに興味ないのかなと思い、2階で作業しているネンを見に行きました。
その後、もう一度1階を見るということで下に行ったら、今度は一人一人の作業をじっくり観察し、たくさん質問しながら見て回っていました。最初は下見だったようです。
いつも冷静なヤーちゃんにもいろいろ話しかけて、ヤーちゃん大爆笑。「切る布が大きいから、お姉ちゃん手が届かないでしょ」とメーに言われて笑っていたらしい。
キットさんにもあれこれ質問
物静かなジャンちゃん、メーにまじまじと見られてドギマギ・・・
その後ホシハナショップも見学に行きました。
秋休みは、夏休みと比べて短いので、今回は2週間弱のアルバイトでした。最終日、さとみさんに連れられて、お給料を受け取りに。メー尊子からお給料を受け取りました。
ショップへの納品も兼ねてお給料の受け取りに。
何故かヤクルトを飲んでいるネン。
さとみさんにまとわりついているのは食いしん坊のララ。食べ物じゃないよ。
嬉しそう~♪
アーパーイ(中3)とネン(中2)が一歳違いというのがにわかに信じがたい。アーパーイが大人っぽいのと、ネンが幼いの、両方あると思う。しかし、それぞれにそれぞれの可愛さがある。
少しでも子どもたちの学びになるようにと、私たちも工夫を重ねています。これらの経験が、子どもたちの血となり肉となっていけば、それ以上に嬉しいことはありません。受け入れ先のスタッフも子どもたちが行くことで刺激になっているようで、これは、バーンロムサイのコンセプトのひとつでもある「循環」という考え方にかなっていると思います。
これからも、ホーム+縫製場+ホシハナヴィレッジのつながりを大切にしていきたいと思った秋休みでした。
山下曜子 | 2019/11/07(木)
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